前回もお伝えしたが、シーズン中でも活動時間が限られるルールの中、短い時間で効果的に戦略や戦術を選手に伝えるためには、我々コーチングスタッフが用意するプレゼンテーションや映像資料が、大きなキーとなるわけだ。週によっては、家に帰れない日が続く時もある。
Good in, good out.
前置きが長くなったが、その強烈な繁閑の荒波を乗り切るために、我々には夏に1カ月のバケーションが与えられる。もう16年目のルーティーンとなったが、この1カ月は愛する母国に帰国して必ずやることが幾つかある。
1.美味しくて質の高い、そして安い日本の食べ物を食べる(コンビニスイーツ含む)
2.大好きな友人達や、お世話になっている、なるだろう人達に会う
3.日本や、その将来のためになることをする。
4.母校城西大学や、スポーツビジネス関連の学部を持つ学校での講師
5.アメリカンフットボールのアドバイザーとしての活動
1.は、ほぼ「食う・寝る・遊ぶ」なのでプライベートな時間である。5.は、自分の好きなことのマネタイズである。おこがましいことを言うようだが、3.、4.と2.の半分は、日本とその将来のためにやっている。年に何度か帰国する私であるが、私のフィロソフィーの一つである「Good in, good out. 自分が得た良いものや経験は必ず誰かにシェアする」はこの1カ月に凝縮されている。
「プレステ」の生みの親と会った!
今回はこの夏に経験した、一つの嬉しいエピソードを皆様にシェアしたい。バケーションも終わりに差し掛かった7月の後半、幼稚な表現で恐縮だが、一人の有名人との会食を持つ機会に恵まれた。久夛良木健さん、Ken Kutaragi、英語で検索してもそれが誰であるかすぐにわかるような人である。20代前半の若者のためにあえて簡潔に説明をすると、PlayStationを創った人である。メディアで見るよりも若く、肌艶の良い顔とその風体は実際の身長よりも大きく見え、なによりも活気に満ちていた。まるで、身体全体が「まだまだやることいっぱいある!」と表現しているようだった。
念のために言っておくが、これは久夛良木さんの年齢の話をしているわけではなく、プレステという、世界の誰もが知っているような事業を中心となって興してもなお、やるべきことは幾らでもあるという貪欲さが、その存在から感じ取れたと言いたいのだ。