スタンフォード大から見た日本はここが残念、作るべきは「失敗容認法」だ

スタンフォード大学アメリカンフットボール部コーチ、河田剛氏。コーチ業の傍ら、シリコンバレーで日米双方のスタートアップのサポート/アドバイザーを務める


可能性は「答え」にあるんじゃない、「そこに行くまで」にある


程度にもよるが、読者の皆さんも、質問や問題、課題に対する答えの「許容範囲」を少し広めてみてはどうだろうか?

とくに日本の将来を担う子供達がいる教育機関で働く読者の方々には、明日にでも始めてほしい。「答えが一つ」の入試制度が色濃く残る教育環境では簡単ではないだろう。だが、その「一つの答え」を導き出すまでのプロセスとして、それ以外の答えにも、「それも良い意見だけど……」や「考え方は正しい」、「良い質問だ」などのコミュニケーション手法、アプローチを取ることは、明日からでも始められると私は信じている。

組織や会社の中でも、後輩や部下に対するコミュニケーションにほんの少しだけ気を使ってみてはどうだろうか? そういう小さな努力が、質問すること、間違えることへの恐怖心を緩和・排除し、自由な発想を生む可能性を高くする。間違いが許容される組織ができてくれば、「俺が責任取るから、なんでもチャレンジしろ」というリーダーも生まれてくるだろう。そして、リーダーの数が増えてくれば組織も活性化するだろうし、人材の流動も起こってくる。

誰かが言っていた。「すべての創造は模倣から始まる」と。

以下のような言葉を、米国にならって、今日からでも使ってみていただきたい。

・良い質問だね

・聞いてくれてありがとう

・リマインドしてくれてありがとう

・そういう意見もあるね

こういう言葉で、今まで職場や教育現場で躊躇していたであろう、日本の子供達、若い人達からの質問が一つでも増えるなら本望である。

文=河田剛 編集=石井節子

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