インスタントコマース企業のビジネスモデル多様化について
1. 作りたて惣菜の市場拡大
多くのインスタント配送企業が食料品を戦略的に重視しているのは変わらないものの、一部の企業は食事の提供を強化しています。これは、より多くの世帯にアピールし、さまざまな時間帯に消費者へ届けることで提供範囲を拡大し、購入額の拡大を図ろうとしています。
・2021年7月、Gopuffは配達専用のキッチンコンセプトであるGopuff Kitchenを立ち上げ、惣菜カテゴリーに参入した。このキッチンは、同社のダークストアに隣接する移動式施設で運営され、食事と食料品を一度にまとめて注文することが可能。メニューには、生地から作るピザ、淹れたてのコーヒー、朝食用サンドイッチなどがある。2022年5月には、キッチン部門に独自のレストランブランド「The Mean Tomato」を立ち上げた。
・Gorillasは2022年3月、フランスの配送スタートアップであるFrichtiを買収した。Frichtiは、独自のレシピを考案し、自社のキッチンですぐに食べられる食事を調理するなど、主に食事の注文に重点を置いており、最近では、果物、野菜、その他の食料品のなどの商品の取り扱いも開始した。
2. 利益率向上のためのプライベートブランド展開
インスタント配送企業では、プライベートブランド(PB)展開を進めており、利益率の高い商品への売上構成比を高めています。また、プライベートブランドは、競合他社との差別化により、顧客ロイヤルティを高めることができるメリットもあります。
・Gopuffは2022年1月、電池やペットボトル、紙製品、菓子類などの生活必需品を扱うプライベートブランド「Basically、」を立ち上げた。今後も同ブランドの新製品展開に力を入れ、今年後半には新たなプライベートブランドも開始する予定。
・Gorillasは2022年6月、フランス、ドイツ、オランダ、英国で、価格重視の4つのプライベートブランド「Gorillas Daily」「Gorillas Premium」「Hot Damn!」「Start-up Beer」を発売した。最も需要の高い11のカテゴリーで約50の商品を提供するという。
Gorillasのプライベートブランド商品の初期品揃え
食料品の高騰が家計を圧迫する中、価格面で大手ブランドからプライベートブランド商品へ切り替える消費者が増えており、インスタントコマース企業にとってプライベートブランド商品の拡大は、低価格を求める消費者の獲得につながっています。