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2022.11.10

米インスタントデリバリー市場に逆風 「つくりたて惣菜」で差別化も

Getty Images


2. 限られた消費者層での競争


垂直統合型企業は、主に都市部に短納期で配送できるダークストアを構えていますが、これらの店舗は規模が小さいため、取り扱う商品も地域限定の利便性の高いものに限定されています。そのため、インスタントコマースはニッチな分野であり、主に都市部の消費者が少数の商品を購入するために利用される場合が多いのが現状です。

また、オンライン食料品を利用する消費者の多くは、商品がどれだけ早く受け取れるかよりも、注文した商品の配達日時を指定できるかどうかを重要視しています。

当社が2022年3月に実施した最新の年次オンライン食料品調査では、オンライン食料品消費者の43.4%が過去12カ月間に食料品の注文を受け取るために日時指定を利用し、当日配送(26.3%)や2時間以内のスピード配送(21.9%)の利用割合を上回ったことが明らかになっています。

図3. オンライン食料品利用者が過去1年間に利用したサービス(回答者の割合)

(図内の訳、選択肢上から「日時指定」「ポスト投函、メール配送」「即日配送(2時間以以上)」「2時間以内のスピード配送」
コメント「オンライン食料品利用者の間ではインスタント配送が最も利用頻度が低い」)
対象:過去12カ月間に食料品をオンラインで購入したことがある18歳以上の米国人回答者1135名(2022年3月24日調査)
出典:Coresight Research

3. 配送プラットフォームによるインスタント配送への参入


InstacartやDoorDashなどの食料品宅配プラットフォームは、即日配送や2時間以内配送など、インスタント配送企業よりも時間がかかるサービスで商品を配送しています。

しかし、これらのプラットフォームは、インスタント配送市場での地位を確立する機会を狙っており、利便性を求める顧客に対応するため、超スピード配送のオプションを追加しています。これらの企業は通常、垂直統合型の企業よりも幅広い品揃えを提供していますが、その全体的なサービス内容は、店舗の営業時間や商品に左右されます。

・2022年3月、Instacartは自動化された小型フルフィルメントセンターを利用した15分のスピード配送サービスを発表した。また、フロリダ州に拠点を置くPublixが、Instacartアプリを通じて15分配送を提供する最初のInstacartパートナーとなることも併せて発表。Publixは2022年4月にマイアミで同サービスを開始した。

・Instacartはこれまで、2021年9月にKrogerと30分配送サービスを全米で開始しており、同月には、消費者のコンビニでの買い物を効率化する新しい商品機能「コンビニエンス・ハブ」を同社のマーケットプレイスで開始した。

この新しいコンビニエンス・ハブを通じて、米国のほぼすべての主要都市の消費者は、Instacart Express(現Instacart+)会員であれば、最短30分の無料優先配送で24時間いつでもコンビニエンスストアの生活必需品が購入できるようになった。
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文=RxR Innovation Initiative

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