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東京国際映画祭3冠のグランプリ作品「ザ・ビースト」など 受賞作の見どころは

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(c)2022 TIFF

コロナ禍が始まってから3回目となる東京国際映画祭(10月24日〜11月2日)。今年で第35回を迎えるが、入国規制の緩和もあり、海外からも多数の映画関係者が訪れ、まさに「国際」の名にふさわしい大会となった。

会場が、六本木から日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアに移って2年目となるが、上映館も3つ増えて計8館となり、屋外のイベントスペースも増設され、開催中はまさに「街」をあげての映画祭という雰囲気に満ちていた。

ちなみに海外からのゲスト数は104人で昨年の8人からは大幅に増え、内外ゲストの登壇イベントも157件と前回の65件を大きく上回った。上映動員数も約6万人を数え、昨年の2万9414から倍増。会期中、周辺エリアは映画祭の観客で賑わった。

映画祭で最も重要なイベントであるコンペティションには、107の国と地域から1695本の応募があった。その中から厳選された15本が上映され、8本が世界初上映、1本が製作国外で初上映、残りの6本がアジア初上映だった。

最終日に発表されたコンペティション部門の東京グランプリには、スペインとフランスの合作映画「ザ・ビースト」が選ばれた。同作品はロドリゴ・ソロゴイェンが監督賞を、またドゥニ・メノーシェが主演男優賞を得て、見事、三冠に輝いた(受賞一覧は最後に掲載)。


「ザ・ビースト」(c)Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E, Le pacte S.A.S.

正義の欠落を追求した作品


グランプリ作品である「ザ・ビースト」の舞台は、スペイン北西部のガリシア地方。西は大西洋に面しており、海洋性気候のため手つかずの森が残されている。その豊かな自然を求めて移住し、農業を営むフランス人の中年夫婦アントワーヌとオルガが主人公だ。

アントワーヌは元教師で、世界を放浪したのちにこの山間の村を知り、妻とともに定住することを決めた。しかし少し離れた隣家には、長年この地で暮らす、よそ者に対して敵がい心を剥き出しにする粗野な兄弟が住んでおり、スペイン語がままならないアントワーヌに対して、ことあるごとに辛辣な言葉を投げつけていた。

外部から村に持ち込まれた開発計画をめぐって兄弟との対立を深めたアントワーヌだったが、彼もまた固い意志の持ち主で、自分たちが移住してきたこの土地に深い愛着を抱いており、少々の諍いにも屈しない性格でもあった。

ある日、アントワーヌとオルガが手塩にかけた農作物が甚大な被害を受ける。兄弟の仕業だと直感したアントワーヌは隣家に怒鳴り込み、警察にも相談するが、事態が解決に向かうことはなかった。やがて、目に見えぬ嫌がらせに、妻のオルガはこの地を離れることをアントワーヌに提案するのだが……。
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文=稲垣伸寿

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