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2022.11.10

米インスタントデリバリー市場に逆風 「つくりたて惣菜」で差別化も

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4. リテールメディアの立ち上げで収益増加を図る


インスタントコマース企業は、高い運営費を補うための新たな収益源を求めて、既存の小売企業に続いてリテールメディアに参入しています。

・JOKRは2022年5月、多様なマーケティングプレイスメントを提供する新しいリテールメディアプラットフォーム、JOKR Mediaの立ち上げを発表した。アドオークションインフラを提供するTopsortと提携し、広告主はアプリの検索ページやトップページなどに、パーソナライズされた関連商品のプレースメントを入札できる。JOKR Mediaは、JOKRが事業を展開する中南米5カ国(ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー)で運営されている。

・2021年6月、GopuffはリテールメディアソリューションプロバイダーのCitrusAdと提携し、Gopuff Ad Solutionsを開始。この機能により、ブランドパートナーは、Gopuffで買い物をする顧客をターゲットに、スポンサー商品またはディスプレイ広告のメディアプレイスメントを実行することができ、同社はデジタルシェルフスペースを収益化することができるようになった。

リテールメディアなどの代替収益源は、インスタントコマース企業にとって利益率の高い広告ビジネスを収益源に加えることを可能にし、マクロ経済の逆風をある程度和らげてくれることが期待されます。

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インスタントコマース企業にとっては、今後6~12か月間の市場を取り巻く環境は厳しいものになる可能性があります。投資環境の厳しさから、同市場では撤退や、もしくはInstacartやDashcartなどの既存の米国配送企業による買収により統合が加速するかもしれません。

また、こうした市場淘汰が進めば、最終的にはGopuffのように自社のビジネスを再構築し収益性の見直しを図っているような既存企業が最も恩恵を受けるものと思われます。そして、競合他社の数が少なくなれば、価格や配送費の引き上げ、収益向上と利益率の拡大へとつなげることも可能です。

また、インスタントコマース企業は、購入額を増やすことを促進するために大量注文に力を入れると共に、最低注文数の要件を設けるなどして、経営的に非常に非効率である少量注文を防ぐことも大切でしょう。

文=RxR Innovation Initiative

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