宅配より「店舗受け取り」を好む若者たち 米国の小売事情

BOPISやカーブサイドピックアップなどのピックアップサービスの増加は、数年前から小売業界のトレンドとなっていました。パンデミックによって、より多くの消費者がこれらのサービスを受け入れ、多くの小売業者がこれらのサービスを導入するようになりました。

これらのサービスは、配送よりも利幅の圧迫が小さく、必要なリソースも少なくて済みます。Targetは、BOPISとカーブサイドピックアップによるオンライン注文の処理コストは、従来の処理よりも90%少ないことを報告しています。

また、消費者が店頭で商品を受け取ることは、店頭での集客にもプラスの影響を与え、アップセリングの機会を得る事もでき、実店舗を持つ小売業者にとって、オンライン専業のライバルに対抗するための戦略的な武器となることが期待されます。消費者にとっても、ピックアップは配送よりも安価であり、受け取り時間をコントロールできるという利点があります。

小売業者が実店舗維持のためにピックアップサービスに投資すると同時に、消費者はこのサービスの利便性、スピード、体験に慣れ親しむため、これらのサービスはパンデミック後も安定した成長を続けることが予想されます。

ピックアップサービスに対する嗜好の傾向


2022年6月に米国のオンラインショッパーを対象に行った調査では、オンラインで注文した商品を受け取るために利用したフルフィルメントチャネル、利用したピックアップサービスの種類、過去12カ月間にピックアップした商品カテゴリーについて調査を行いました。

調査結果によると、オンラインショッパーはピックアップよりも配送を強く希望していることが分かり、回答者の約8割が、過去12カ月間にオンラインで購入した商品を主に配送してもらったと回答しています。それに対し、主にピックアップしたと回答したのは13.7%でした(図1参照)。

しかし、クリック&コレクトは2つのフルフィルメントチャネルのうちでは新しく、小売業者と消費者の双方に大きな利益をもたらすことから、Eコマースのラストワンマイルにおいて今後もより重要な役割を果たすことが予想されます。

図1. オンラインショッピング利用者が過去12カ月間に主に配送またはピックアップを利用したかどうか(回答者の割合)


(図内の訳、選択肢「配送:82.2%」「受け取り(店頭、カーブサイド、ロッカー):13.7%」「覚えていない4.1%」 コメント「ピックアップは配送に遅れをとっている」)対象:2022年6月2日までの12カ月間にオンラインで商品を購入した13歳以上の米国人回答者920名(2022年6月2日調査) 出典:Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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