リモートワークの普及は「iPadの進化」に影響を与えたのか
iPadは2010年の誕生から今年12年目のアニバーサリーを迎えた。秋にはデザインを一新した第10世代のスタンダードな「iPad」と、Apple M2チップを載せてパフォーマンスの限界を超えたフラグシップの「iPad Pro」が発売されている。各製品の詳細はハンズオンレビューも参照して欲しい。
現在は2つの新機種の他に、スリムで高パフォーマンスな「iPad Air」、小回りが効く8.3インチのコンパクトな「iPad mini」と、4万円台から買える入門機の第「9世代iPad」が揃い、iPadシリーズが5つのモデルにより構成されている。なお、iPad Proには12.9インチと11インチのサイズが異なる2つのモデルがある。
ボーチャーズ氏は、アップルがすべてのデバイスで多様な選択肢を揃えることに注力しているとしながら「現在のラインナップは人々がiPadに寄せる期待に応えるものになった」と胸を張る。
2020年春頃から世界中に広がった新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの中、多くのビジネスパーソンがオフィス以外の屋外施設、または自宅で仕事をこなすリモートワークという働き方を採り入れた。
アップルは第10世代iPadのために、キーボードとトラックパッド、本体カバーの役割を三位一体にした新しい専用アクセサリー「Magic Keyboard Folio」を開発した。またフロントカメラの位置を正面サイドからトップセンターに変更して、ビデオ会議にiPadを使用する際の利便性を高めた。アップルには第10世代のiPadを「ビジネス向けのデバイス」として強化する狙いがあったのだろうか。ボーチャーズ氏は次のように答える。
第10世代iPadのために開発された専用アクセサリー「Magic Keyboard Folio」キーボードとトラックパッド、iPad本体を保護するカバーの役割を兼ねている
「パンデミックが続いた約2年半の間にアップルもさまざまなことを学びました。変わる環境の中で多くの人々が創造性を最大化できるように、デバイスのあるべきかたちを追求しました。新しいiPadはフロントカメラの配置を変更しましたが、その前にiPadやMacのフロントカメラには、ユーザーがデバイスの前で動き回っても常に画面の中央に収めてくれるセンターフレームの機能を載せています。このようなiPadの機能が役に立つ場面はビジネス用途に限られたものではありません。いま多くの人々がデバイスという境界線を越えて、オンラインで快適に共同作業が行える環境を期待しています。アップルはすべてのデバイスとソフトウェアで、共同作業に最適な機能を強化しています」