ビジネス

2022.09.15

持続可能な経営の柱となる、絆徳流「社員教育」とは?

ラーニングエッジ代表取締役・清水康一朗


ステップ4では「コーチ」。ステップ5では「コンサルタント」です。「ここがわからないなら、まずこれをやろう」というように、個別のケースについて行動を明確化し、実行の支援をするのがコーチやコンサルタント。その場合、コーチは「質問」し、コンサルタントは、「アドバイス」を与えることで、相手の気づきや成長を促すことが求められます。

部下から「今こういうことが困っている」と相談された時、「それは事実?それともあなたの解釈?」と質問することで、個別の答えを引き出しながら課題の本質を言語化し、アドバイスすれば、解決の道筋が見えてくるのです。

さて、ステップ1から5までのポジションは、若手社員でも務まるものでしたが、ステップ6以降は、中堅~ベテラン向けに推奨する教育です。その最初のステップ6は、「メンター」。本来の役割は、体験の共有によってフィードバック(気づき)を与えることなので、部下へのアドバイスは、あえて行いません。体験の共有にも色々ありますが、特に重要なのが「失敗体験の共有」です。メンターがうまくいかなかったことや失敗談を話すことで、部下は「上司にもそんな時代があったか」と共感し→「自分ならどうするか」と自身で考え→気づきを得る。

そして、ステップ7では「トレーナー(上級スピーカー)」。実体験として学んだことを教えるポジションで、ティーチャーが教え方を学んだ講師であることに対して、トレーナーは、実体験のある講師。若手が困りがちなポイントを熟知して的確に伝えるスキルが求められます。

ステップ8は、「ボードメンバー(幹部層)」。全体的な問題解決を支援したり、役職者の議論をまとめて経営的な問題を解決することが求められます。ステップ1から7の段階を経て、ボードメンバーまで到達した社員は、GE社のマトリックスでいえば、「パフォーマンスもマインドセットも高い人材」に成長しているはずです。

ここで最も重要なのが、ステップ8までに多くの人と関わり、多様な価値観に触れてきたため、会社や社員と強い絆で結ばれていること。つまり、この流れで成長していくことによって、社員はステップバイステップで自己有用感を満たしながら、必要な「居場所」と「絆」ができていくことになります。そして、結果的に「活躍」し、「定着」する社員が増えて、強い組織ができあがっていくのです。

文=中村麻美

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