ビジネス

2022.08.11

利益と結果を確実に出す、令和流の新しいモデルとは?

ラーニングエッジ代表取締役・清水康一朗

私が考えた造語「絆徳経営」(ばんとくけいえい)が、顧客、社員、社会の三方に「よいこと」をして絆を結び、「理念」と「経済合理性」の両方を高めていく持続可能な経営の要となる考え方であるのは、このコラムを通してお伝えしてきたことでもありますが、今回は、「理念があるのに、なぜ思うように利益や結果が出ないのか?」という経営者から聞かれる切実な悩みについて、分析して参りたいと思います。

理想のマーケティング術と思われていた「FFMBモデル」の落とし穴


我々が日本に紹介したことで数年前まで流行り、今でも多くの業界で採用されているマーケティング術であるビジネスモデル「FFMB」について、お話しましょう。

「FFMBモデル」とは、1. 無料サンプル等を通して、自社商品に興味がありそうな顧客を集めるフリーエンド=F。2. 集めた顧客に安価な商品やサービスを購入してもらい、その良さを実感してもらうフロントエンド=F。3. 中価格帯の商品・サービスを購入してもらうミドルエンド=M。4. 最も自信を持ってお薦め出来る最上位モデルを購入してもらうバックエンド=B、のことです。

これは、一見緻密に考えられたマーケティングに見えますが、「以前ほどの効果が得られない」と感じている方も多いのが現状です。その理由は、今の世の中、フリー(無料)で手に入るモノやサービスが溢れるように提供される時代になってしまったからです。

例えば、ひと昔前に無料でCDやDVDがもらえるのは、消費者にとって魅力的でした。ところが、現在は無料のYouTubeで、クオリティの高い画像を見ることが出来る。資料請求については、言わずもがなで、わざわざ個人情報をさらして資料請求しなくても、情報ならネットで調べられます。テクノロジーやSNSの発達で、消費者が感じる「お得基準」が激変したのです。

そして、従来の「FFMBモデル」は、「その人がどんな人で、何を求めているのか?」への答えを出さないまま特典を送りつけることが多かったため、試供品だけで満足して、購入しない人が続出するというデミリットもありました。つまり、「人」でなく「商品」の視点から考えられた販売プロセスだったわけです。そこで私は、今の時代にフィットした新しいモデルとして、「5K(ファイヴケイ)マーケティング」を提唱しています。

最新にして最強の「5Kマーケティング」を実践せよ!


SDGsやデジタル化は、消費者の価値観に大きな影響を及ぼした結果、消費者は、商品やサービスの良し悪しだけでなく、商品の世界観まで含めて買うようになりました。商品のよさだけではなく、提供者の想いも大切だ!ということです。ところが、「商品の質も世界観もよいはずなのに売れない」という悩みがあるならば、もしかしたらそれは、消費者に世界観を届ける「仕組み」が出来ていないことが考えられます。
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文=中村麻美

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