ソフトバンクのAIスマートコーチ、部活動改革の救世主として期待

ソフトバンクで「AIスマートコーチ」を担当する星川氏(写真左)と山口氏

ソフトバンクで「AIスマートコーチ」を担当する星川氏(写真左)と山口氏

スポーツ庁の有識者会議が今年6月、2023~25年度の3年間を目処に、休日の運動部活動を段階的に地域移行するよう提言した。少子化や教師の業務負担軽減に対応するため、部活動を学校だけでなく地域単位で支えようというのだ。

しかし、指導者や資金などの地域格差の問題がつきまとう。そこで期待されているのがソフトバンクのAIスマートコーチだ。

「AIスマートコーチ」とは、スマートフォンで撮影した動画を利用して、スポーツのスキルを向上させるアプリ。現在、搭載されている主な機能は次の4つだ。

1.お手本動画

野球のバッティングや、サッカーのドリブルなどのお手本動画を見ることができる。動画の重要局面で意識するポイントを文章でも確認可能。

「AIスマートコーチ」お手本動画

2.比較モード

スマホで撮影した自分のダンスやバッティングフォームを、お手本動画と並べて再生。骨格解析ができるほか、気になる場面にはメモを入れて保存することも可能だ。

「AIスマートコーチ」比較モード

3.練習メニュー動画

種目ごとに、部活動や自主練習等の場面で活用可能な練習メニュー動画を視聴できる。

「AIスマートコーチ」練習メニュー動画

4.フィジカルトレーニング動画

アプリの開発にも携わった筑波大学が監修するトレーニング動画を掲載。どんな競技にも共通する、腹筋や腕立て伏せなどを効率よく行うための動画で、基礎体力・筋力向上を目指す。

「AIスマートコーチ」フィジカルトレーニング動画

対応種目、料金は?

8月現在では野球、サッカー、バスケットボール、ダンスの4種目への対応だが、順次追加され、合計15種目になる予定だと言う。しかもこのアプリ、スマホさえあれば簡単に使える上に、利用料は無料というから驚きだ。なぜ、こうしたサービスを、しかも無料で提供することになったのだろうか。

その疑問にAIスマートコーチの担当者、ソフトバンクのサービス企画本部コンテンツ推進統括部企画管理部部長・星川智哉氏と企画管理部コーチング事業推進課の山口力也氏が答えてくれた。

DXでスポーツの「地域格差」を是正したい


「以前から弊社ではプロスポーツの支援に取り組んでいます。たとえばダンスのプロリーグであるDリーグは、割と初期段階から関わらせていただき、さまざまな支援をしています。そうした支援のひとつが、われわれソフトバンクの得意分野であるDXを活用したものです。

その他にも野球やバスケットボールの試合中継など、いろいろなことをしていますが、プロスポーツを盛り上げるには、アマチュアスポーツや、これからスポーツを始める子どもたちの環境を整えることも重要です。しかし、そこには解決しなければならない課題があるので、それをDXを活用して支援していこうという取り組みです」(星川氏)

「子どもたちのスポーツでいうと、地域格差という課題があります。地方や離島などの子どもたちは、都心に比べて指導者が少ないとか、スポーツの競技人口が少なくて試合ができないなどといったことがあります。それをAIスマートコーチで是正できたらいいなと思っています。

ソフトバンクは携帯配信事業もやっていますから、若年層の頃からソフトバンクのサービスに触れてもらって長くファンであってほしいという思いもあります」(山口氏)

地元に指導者がいなくても、やる気とスマホさえあれば、適切な指導を受けることができる。AIスマートコーチは、子どもたちに平等なチャンスを与えられるアプリなのだ。
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文=濱中香織(パラサポWEB) 写真=吉永和久

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