世界初のプロリーグとしてゼビオグループのクロススポーツマーケティングが2014年に立ち上げた「3x3.EXE PREMIER(スリー エックス スリー エグゼ プレミア)」は、昨年、一昨年とコロナ禍の影響による中止や縮小開催を余儀なくされたものの、今シーズンは日本、ニュージーランド、タイ、チャイニーズタイペイで開催され、男子79チーム、女子24チームが参加。日本ラウンドは、3年ぶりの開催で1万8千人を集めた5月末の開幕戦を皮切りに、初開催5会場を含む全国14会場で開催される予定だ。
また、同社は宇都宮市と協力し、国際バスケットボール連盟(FIBA)主催のクラブチーム世界一を決めるワールドツアーの開幕戦「FIBA 3x3 World Tour Utsunomiya Opener 2022」を5月13〜15日に開催。4万8千人の観衆が大会を楽しんだ。
国内外問わず、根強い人気を誇る秘訣は? ゼビオホールディングス副社長執行役員でクロススポーツマーケティング代表取締役社長の中村考昭氏に話を聞いた。
──「3x3.EXE PREMIER」はこれまで六本木ヒルズや京都の平安神宮など、従来のスポーツでは考えられなかったような場所で試合を開催しています。どのような基準やポイントで会場を選んでいますか?
野球にせよサッカーにせよ、多くのスポーツは自分たちが試合を開催するスタジアムやアリーナといった「箱」を持ち、そこに観客を集めてビジネスをする、「呼び込み型」のモデルです。
対して我々は、一定のスペースがあればどこでも会場にできる利点を生かして、自分たちから人が集まる場所へ出て行ったらどうかと考えたんです。ショッピングセンターやバスターミナルといったハイトラフィックな場所、そして地域を象徴するランドマーク、歴史が感じられる場所を会場としてきました。
平安神宮
静岡県の焼津で開催した時には、焼津といえば漁港、ということで、漁師さんたちが港にずらっと船を並べてくれて、その前で試合をしたんですよ。
自治体やデベロッパー、ショッピングセンターなど様々なパートナーと一緒に、地域や施設のにぎわい創造に取り組んでいます。
2018シーズンにはユニークべニュー賞を受賞した焼津漁港
──オープンスペースで開催される時には、コートサイドに一部観戦席がありますが、席数も限られ、価格も4000〜5000円となるとチケット収入はそう多くないですよね。どのようなビジネスモデルなのでしょうか?
我々の事業は「興行を売る」モデル。お客様にチケットを売って収益を出すのではなく、企業や団体等にラウンドホスティングパートナーとして、イベントそのものを買っていただくんです。
例えばショッピングセンターのような施設には、催し物を開けるように吹き抜けのスペースが設けられていて、お笑い芸人のライブやアイドルのサイン会、ヒーローショーなどがよく行われていますよね。新たに3x3がその選択肢の一つに加わったわけです。
にぎわいをつくるエンターテインメントビジネスとして、施設や自治体に呼んで頂くことでマネタイズしている。その点が、既存の多くのプロスポーツと決定的に異なっています。スポーツビジネスの基本はチケット販売と言われていますが、我々には当てはまらないんです。
もちろん興行を販売して終わりなどでは決してなく、イベントとしてどう盛り上げるかが重要です。街おこしとしてもビジネスとしても、当然ながら、持続可能性を追求しています。
岡山県岡山市のイオンモール岡山