サッカーはプロチームによる「WEリーグ(Women Empowerment League)」が9月12日に開幕。東京五輪で史上初の銀メダルという快挙を成し遂げたバスケットボールの「Wリーグ」は、今年6月から新会長に映画監督の河瀨直美氏を迎え、改革に動き出した。また、金メダルを獲得したソフトボールは、2022年春の「JDリーグ(Japan Diamond Softball LEAGUE)」開幕に向け準備を着々と進めている。
遡ること1年前、こうした変革期の女性スポーツ、アスリートたちを支援するために、9競技12団体が連携する横断組織「日本トップリーグ連携機構(JTL)」は「WAP(女性アスリートプロジェクト)」を立ち上げた。女性スポーツの持つ様々な課題に取り組み、多様化する地域社会を巻き込んで「する・みる・ささえる」人たちを増やし、価値向上を目指す。WAPはそんなミッションを実践するアライアンスだ。
今回、WAPに参画するWEリーグの岡島喜久子チェア、Wリーグの河瀨直美会長、JDリーグの宇津木妙子副会長兼キャプテンが、それぞれのリーグが目指すもの、そして女性スポーツの可能性について、熱い想いをぶつけ合った。
まずは華々しく開幕したWEリーグの岡島チェアが、現状を説明する。
「9月12日、11クラブでついに開幕を迎えました。そのうち8クラブがJリーグのチームです。私は昨年6月からWEリーグに関わることになり、準備を進めてきました。オリンピック・パラリンピックでスポーツへの関心が高まったタイミングで集中的にプロモーションをしました。
五輪イヤーということで、もちろん代表チームが勝つというのは非常に大きなことで、それが競技の普及につながったり、パートナー企業の興味につながったりというところはあります。
WEリーグの場合は、私たちが掲げているジェンダー平等、女性活躍といった社会的な意義を評価して応援しようというパートナー企業が目立ちます。SDGsの観点から女性スポーツを支援する機運が高まっていると思います」
(c) WE LEAGUE
岡島チェアは、女子サッカーが盛り上がりを見せるアメリカに在住している。日本との差をこう分析する。
「米女子サッカー人口は200万に近い。一方、日本では子供も含めて6万人弱と、かなり差があります。米国はプロリーグが興行として成り立っていて、観客はリーグ平均で7千強、人気チームだと平均2万くらい。なでしこリーグの2019年の平均観客数は1300程度、桁が違うんです。
これは、米国で1972年に制定された、教育機関において男女を差別してはならない、同じ予算を使わなければならないという法律『タイトル9』によるところが大きい。男子の大学スポーツではテレビの放映権料が入ってきますが、そのお金を女子にも分配しなければいけないということで、女子サッカーにも奨学金が出るようになりました。こういった背景もあり、親が女の子にサッカーをさせる状況になっています」