オリンピックでの結果は競技全体やリーグの将来に大きく影響する。
「大会前から、ある企業にスポンサーをお願いしていたんですが、金メダルを取った瞬間に冠スポンサーが決まりました。
しかし、ソフトはまた五輪競技からは外れてしまいます。2028年のロス大会での再復帰に向けてロビー活動をしていますが、また子供たちの夢を遮ってしまっています。13年前の北京が終わってから2大会出られなかった時もしんどかった。
一方で、いま日本にはアメリカを中心に世界からいろんな選手から来ています。過去日本からも何人かアメリカのプロリーグに参戦しましたが、みんな帰ってきました。それは日本が最高の環境の中でやれているからじゃないかと。ならば日本で世界一のリーグを作ろうということでJDリーグができたわけです。日本から世界にいろんな選手を送り出して、普及活動をしようという夢もあるわけですが、五輪競技でなくても、どうチームやリーグを守り育てていくかが課題です」(JD・宇津木)
史上初の銀メダルという快挙を成し遂げた女子バスケについて、河瀬会長が続ける。
「私は2年前にトム・ホーバスヘッドコーチに取材をした時から、彼の『絶対に金メダル』という宣言を信じていたので。そしてリーグで成長を続けていけばパリでは狙えると思っています。奇跡的でもなんでもなく、ちゃんと皆さんにこの現実を伝えなければいけないし、子供たちがバスケをやり始めるための裾野を広げることが大事なんですよね。
3人制が新種目に入って、5人制と両方で注目されたのも大きい。3人制はストリートでできるので、部活動だけでなく、地域の公園で楽しめるようなコミュニティができていくと5人制にも影響してくると思います。私たちのリーグでもSNSを使って若い子たちにバスケのかっこよさと楽しさを伝えていく準備を進めているところです。
また、東京五輪に来られたFIBA(国際バスケットボール連盟)の方たちが『女子に注力する』『女子W杯を開きたい』とはっきり言われていたので、これはめちゃくちゃチャンスやなと感じました」
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女子サッカーはメダルが期待がされただけに、ベスト8という結果にも厳しい評価の声が上がった。
「世界全体のレベルが上った、その差が縮まった構図があります。特にヨーロッパが非常に力をつけてきた。その理由が、プロリーグなんです」と岡島チェアは言う。
「男子の欧州のリーグには巨額の資金があって、そのお金を女子に投資をするようになった。選手の環境も、ペイも良くなり、他の国からもトップ選手が集まるようになりました。日本は今までアマチュアでした。仕事やバイトをしながら選手活動を続けていた。そういった選手の待遇はWEリーグの誕生によって変化しました。その成果をぜひ2024年のパリ五輪で見てほしいです」
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