──グローバルでも展開されていますが、どのように実現してきましたか?
宇都宮市と力を合わせ、FIBA主催の国際大会「FIBA 3x3 World Tour」を2016年から開催してきましたが、地域を巻き込んで大会を盛り上げている点がFIBAからも高く評価され、3x3業界の最大の成功事例として、国際会議等の場で紹介してくれていることが大きく影響しています。
会場は地域の象徴である、宇都宮二荒山神社の大鳥居前。セレモニーでは地元のお神輿愛好会である「宮壹會」がお神輿を担ぎ、商店街約70店舗の協力もあって、毎回お祭りの雰囲気で盛り上がっています。
我々が目指しているのはまさにこの、「地域のお祭り」のイメージなんです。興行主が中央で管理するモデルではなく、商店街、組合、青年会議所などそれぞれが声をあげて取り組む、盆踊りや秋祭りのような「手触り感」のあるものにしたい。ワールドツアーは石油で潤っているような都市でも開催されているのですが、それとは一味違う、日本らしい大会になっています。
また、我々は世界に先駆けて「3x3.EXE PREMIER」を設立すべく、早い段階からFIBAとの良好な関係を築いてきました。
FIBA 3x3 World Tour Utsunomiya Final 2019
──「3x3.EXE PREMIER」には様々なオーナーがいらっしゃる点もユニークですよね。
はい、誰でもチームオーナーになれる世界を目指しているんです。
例えば自動車や携帯電話も、発明された当初は富裕層だけが所有できる贅沢品でしたが、今では多くの人にとっての生活必需品ですよね。スポーツチームもより身近な存在となるために、誰もが持てるものにしたい。
TOKYO DIME.EXE共同オーナーの岡田優介選手・麒麟田村氏・大西ライオン氏やCHOU SHEEPS.EXEオーナーのラグビー日本代表山田章仁氏、HIU ZEROCKETS.EXEアドバイザーの堀江貴文氏といった著名人もいれば、JリーグやBリーグのプロスポーツクラブ、あるいは地元企業や商工会議所、商店街のような地域に根ざした組織の集まりなど、多彩なチームオーナーによってリーグ構成されています。
──具体的にどうすればオーナーになれるのでしょうか?
リーグに対して加盟金等を支払って、参入いただく仕組みです。法人、個人、共同といった形態を問わず、チームの年間事業規模は500万円程度からとなっており、他のプロリーグと比較しても低予算でオーナーとしてプロスポーツチームを持つことができる、これまでにないオーナー制度です。
「箱」が必要なプロスポーツであれば施設への投資や維持費がかかりますが、「3x3.EXE PREMIER」には決まった箱は必要ありませんし、興行権もリーグが持っていますから、運営コストやリスクが軽減されている。大金持ちでなくても、高校時代のバスケ部OBや商店街の集まりでもオーナーになれるんです。
選手の報酬についても、リーグが全選手と統一契約を締結していて、リーグから選手たちに出場報酬を支払う仕組みになっています。つまりチームから選手に給与を払う必要がない。別途プラスアルファを支払うのは自由ですが。
そしてまた、選手のバックグラウンドも多彩なんですよ。
デュアルキャリアを推進していますので、Bリーガーのみならず、薬剤師、モデル、銀行員など、様々な兼業プレイヤーが参戦しています。
>> リーグ設立後、順調に成長を遂げてきた「3x3.EXE PREMIER」への新型コロナ禍の影響や現在の課題や目標、また3x3事業の他にも様々なスポーツビジネス事業を展開しているゼビオグループのビジョンについては後編(8月6日公開)にて。
中村考昭◎クロススポーツマーケティング株式会社代表取締役社長、ゼビオホールディングス株式会社副社長執行役員。一橋大学法学部卒業後、リクルート、A.T. カーニー、スポーツマーケティング会社を経て、 2010年ゼビオ入社。2011年4月より現職。2014年に3x3.EXE PREMIER創設、コミッショナー就任。東京ヴェルディ代表取締役社長、東北アイスホッケークラブ(東北フリーブレイズ)代表取締役も務める。