──スポンサー収入への影響についてはどうでしょうか。
新アリーナができるということや代々木第一の知名度、キャパシティへの期待感なども相まって、スポンサー収入は増えています。
コロナ禍以降は、売り方も徐々に変えてきました。看板一枚いくら、といった従前の営業ではなく、カスタマイズとまではいきませんが、お客様のお困りごとの解決を目指して、メニューを少しずつ変えています。
もう一つは、昨年「ALVARK Will」という社会的責任プロジェクトを立ち上げました。チームの発信力を活かし、色々な人たちの力をつなぎながら、SDGsの達成、社会への貢献をするための活動をしていこうというもので、共感してくださるスポンサーも増えています。
例えば今シーズン、CO2排出量可視化・削減サービスプラットフォームのe-dashとともに、全ホームゲームで排出されるCO2をカーボン・オフセットによって実質ゼロにする取り組みを行います。
──以前チームスタッフの方にお話を伺った時に、「テクノロジーやデータの活用法」に関して、「効率化」「再現性」というキーワードを挙げられていたのが印象的でした。ビジネス面においては、どのような指標を重視されていますか?
とにかく「集客力」が、チームの強さ、スポンサー収入なども含め、全てのことにつながると考えています。今シーズンは勝負の年ですので、選手、チームスタッフ、クラブの全員で集客を強く意識して取り組んでいきます。
そういう意味では、チーム強化やコンディショニングのために4年目から導入している「選手のトラッキングデータ」などについても、間接的にはビジネスに関係してきますので、活用できるデータについては広く捉えています。
ただ、ビジネスにおける直接的なデータ活用「デジタルマーケティング」については、ある程度の規模でないと方向性を見誤ります。Bリーグには、チケット販売の共通プラットフォーム「B.LEAGUEチケット」がありますので、この会員データを大いに活用したいのですが、残念ながらJリーグのような「お気に入りクラブ」の設定がない。今後の課題です。
──中長期的な課題と感じていることはありますか?
Bリーグは現在、NBAに次ぐ世界第2のリーグを目指して、発足10年目2026-27シーズンからの大変革の構想を練っていますが、これをしっかりローンチして、生活の一部にBリーグがあるという所まで引き上げていくことが必要です。
3つの使命として掲げてきた、「エンタメ性の追求」や「夢のアリーナ実現」については、前進していると思います。試合以外にも楽しみを提供するためのイベントや演出、チア文化といったものも定着してきました。
ですが、「世界に通用する選手やチームの輩出」については、将来を考えるともう少しアカデミー活動にBリーグ、JBA(日本バスケットボール協会)も資金と人を投じるべきだと思います。クラブだけではどうしても限界がありますが、現在の日本代表の若手選手はBリーグを観て育った世代になってきました。手を付ける時期が来ているのではないでしょうか。