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2022.09.12

ダイバーシティ推進はスタートアップエコシステムから

高野真 JVCA専務理事


2. JVCA内イベントにおけるKPIの設定


以上を踏まえ、まずは、JVCA自らその一歩を踏み出す必要があるべきとの考えから年間20以上行われるJVCAのイベントのポリシーにダイバーシティのKPIを次のように設定する。登壇者のうち、女性・LGBTQ・外国籍・障がい者の割合が年間を通じて最低10%、目標20%(部会ごと/イベントシリーズごとに年間で達成するものとする)。ただし4名以上のパネルでは出来る限り女性1名を入れるよう検討を行う。

3. 啓蒙活動としてのVC向けセミナーの開催


ダイバーシティだけでなくそれを許容するインクルージョンを達成するためにはVC・CVCの意識改革も重要である。そのために、DIIプロジェクトではダイバーシティに対する啓蒙活動の一環として定期的にセミナーなどを行う予定である。

このような活動が日本のスタートアップエコシステムをより正しい方向に持っていくとの信念でJVCAはDII活動を行うこととする。

注)筆者はフォーブス ジャパンを運営する会社リンクタイズの代表取締役CEOであるが、ここではJVCAの理事および、本DIIプロジェクトの一員として本コラムを執筆している。したがって本内容はフォーブス ジャパンの見解とは何ら関係ないものであることを付け加えておく。



SDGs、inclusive economy、ESGなどは世界的に今後のフォーカスエリアになっている。日本でもそれらを意識した動きが大企業中心にみられる。しかし、これまでの日本の大企業が作ってきた硬直的システムがゆえに、SDGsへの対応は対処療法にとどまっているように感じられる。

一方で、日本で盛り上がってきたスタートアップ・起業家コミュニティにおいてはなおさらSDGsへの意識は小さい。同時にその機動性から一旦その重要性を認識した折には、予想以上のスピードで変革を遂げる可能性は否定できない。

それゆえ、起業家に多大なる影響をもつVCの業界団体であるJVCAでは率先してSDGsを本格的に導入していきたい。最終的には世界のVC業界団体でもっともSDGsに向き合う団体になることを目指し、その結果、日本のスタートアップ全体にSDGsを根付かせられれば幸いである。

上記の思いの中、JVCAではその一環としてDiversity and Inclusion Initiativeを立ち上げる。

高野真◎JVCA専務理事(リンクタイズ 代表取締役CEO 兼 Forbes JAPAN Founder) 。1987年大和証券入社、1997年にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントへ移り、執行役員企画調査室長を経て2001年にピムコジャパンリミテッド入社。取締役社長を約13年務める。2014年に金融から出版に転じ、アトミックスメディア(現リンクタイズ)代表取締役CEO 兼 Forbes JAPAN編集長に就任。2019年よりリンクタイズ(商号変更)代表取締役CEO 兼 Forbes JAPAN Founder。その他、2007年よりMTパートナーズ(代表取締役)、2016年にD4V(Founder &CEO、Design for Ventures、IDEOとの合弁VC)を設立。GHV Accelerator、エンデバー・ジャパン、日本ベンチャーキャピタル協会、国際文化会館 評議員。早稲田大学理学学士号、工学修士号、同大大学院理工学研究科博士前期課程修了。

文=高野真(JVCA専務理事)

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