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2022.09.12

ダイバーシティ推進はスタートアップエコシステムから

高野真 JVCA専務理事


以上のような考えのもと、スタートアップ業界にVC・CVCとして関与し、スタートアップの成長を伴奏する団体として日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)では、自らダイバーシティ&インクルージョン・イニシアティブ(DII)を立ち上げた。そしてゆくゆくはこれを投資先のスタートアップに広め、ひいては日本全体にそのイニシアティブを浸透させる先導役となることを目指す。

当初JVCAではVC・CVC業界に女性キャピタリストが少ないことから女性活躍推進プロジェクトを始動させることを考えていたが、女性活躍にだけ焦点に当てるのはもはや時代遅れだろう。したがって、長期的な指針としてDIIとして発足させ、その第一歩として女性キャピタリストの育成に手がけることとした。

一方で、まだまだグローバル感の乏しい日本のスタートアップ、VC・CVC業界にとって世界の同様の団体の中でSDGsの旗振り役になるというミッション(別掲のミッションステートメント参照のこと)は飛躍しすぎの感はある。

しかし、実際、世界的に見ても、米国を含め各国VC・CVC業界におけるダイバーシティの推進度は決して高くない。したがって、長期的な指針として世界の中でも先進的なポジションを取るというミッションは、必ずしも高すぎる目標ではない。

JVCAのDIIプロジェクトにおける今後の活動


DIIプロジェクトで当面取り得る具体的なアクションは以下の3つである。

1. 現状把握のためのVC業界におけるサーベイの実施


第1回のサーベイは既に2022年3月から4月に行われた。全会員会社226社中52社から回答を得た。サーベイ結果の詳細についてはフォーブス ジャパン本誌2022年8月発行号を参照していただきたいが、そのエッセンスは以下になる。

回答そのものが全体の4分の1に留まっていることがそもそもの関心のなさを反映しているものの、回答のうち95%がダイバーシティは企業価値に影響をもたらすと考え、90%が何らかの配慮をしているというのは、興味のある結果である。

その一方で、女性キャピタリストの比率は16.3%にとどまり、マネジメントにおける女性比率に至っては8.7%に過ぎない。我々はここを出発点としてDIIプロジェクトを推進する。
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文=高野真(JVCA専務理事)

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