ビジネス

2022.09.07 16:00

「崎陽軒ムック本」もあるシウマイ弁当 新社長の食べ方流儀は


筍煮は万能。失敗しても「次がある」


──「迷った時の筍煮」?

筍煮は万能の脇役ですよね。ご飯を口に入れ過ぎて、塩味を追加したいときにも使える。数もあるし、失敗しても次がある。色んな自分を受け入れてくれる。自分もそういう人間になりたいです(笑)。

これはビジネスにも通じるかもしれませんね。筍煮のような人材はさまざまなビジネスシーンで重宝されそうです(笑)。

──ここで切り昆布と千切り生姜を一緒にして「こぶしょう」にするんですね。

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市島晃生氏

こぶしょうでいったん休憩してからの食べ進めは、いわば直感的。その日の気分に左右されますが、それでも、あんずは一番最後、玉子焼きも最後の方、鶏の唐揚げも後半戦に残す、という金科玉条はありますね。

──フィナーレはシウマイ1個にご飯2分の1個。最後のシウマイに辛子をつけ、お弁当箱にくっついたご飯を、最後、丁寧にこそげていきますね。

「ご飯は残すな」としつけられて育ちましたから。

──玉子焼きは最後の「デザートブロック」に入るんですか?

僕は、寿司屋でも玉子焼きで締めたいタイプなんです。まあ、シウマイ弁当にはあんずがあるから、お寿司屋さんのようにはいかないんですが。

──なるほど。そして最後はあんずを一口で。

ここで、最後に残した「こぶしょう」がおいしさをひきたててくれます。甘酸っぱいだけより、それがいい。おしるこにこんぶがあるように、一緒に食べるとちょうどよくなります。

─おつかれさまでした。本日の手数(注:箸を動かした回数)は「44手」でした。ちなみに小山薫堂さんは35手。一番多い方で72手というのがありました。3代目は22手だったから、倍、手間をかけていますね。

44手でしたか。僕は4代目だから、ちょうど良い数字ですかね(笑)。

野並晃(のなみ・あきら)◎1981年8月30日生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、キリンビールに入社。2007年4月に崎陽軒に入社し、2012年5月には取締役に就任。2019年1月には横浜青年会議所の第68代理事長に就任。2021年1月から1年間、日本青年会議所の第70代会頭を務めた。

市島晃生(いちじま・てるお)◎1966年神奈川県生まれ。テレビディレクター、演出家。「食べ方学会」会長として同人誌「食べ方図説」発行人も務める。365日、不規則勤務を強いられる放送業界で苛酷な業務をこなしがら、今日の仕事と明日の充実のため、ベテランテレビマンならではの「一番おいしい」「完食」の奥義を追求し続けてやまない。グルメ、バラエティー番組を中心に「料理の鉄人」「ウンナンのホントコ」「マジック革命!セロ」「極皿食の因数分解」「奇跡の晩餐〜ダイニングアウト物語」などを担当。著書に『絶対にうまい食べ方』(2014年、中経出版刊)。なお野並晃社長のシウマイ弁当食べ方詳細は、食べ方学会の新刊同人誌「崎陽軒シウマイ弁当 ゲノム解読完全データ」にも。食べ方学会

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文=岡田麻衣子 編集=石井節子 写真=曽川拓哉

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