2018年には、崎陽軒創業110周年とシウマイ誕生90周年という2つの節目を記念して作られた「崎陽軒Walker」も発売され、たちまち売り切れた。この本には、シウマイやシウマイ弁当のおいしさの秘密、歴史、そして創業110周年にちなんでさまざまな業界の有名人からいただいたメッセージなどが詰まっている。「崎陽軒 シウマイ弁当」はまさに日本人の国民食、エッセンシャルフードとさえ言えるかもしれない。
それだけに、その「食べ方」も人それぞれだ。8個の俵型ご飯はどこから箸をつけるのか、蒲鉾はいつ食べるか、そして「あんず」は?
Forbes JAPANでは、5月に4代目社長に就任した野並晃氏に、崎陽軒から「超シウマイ弁当」 キリンビールで修行した新社長の妙手 に続いて自社弁当への思いを聞いたほか、実際に食べてもらって、食べる順序やこだわりを「記録」した。若き新社長の「食べ方流儀」と、そこから見えてきたビジネスシーンにおける「脇役」への思いとは。
聞き手は、あの伝説のグルメ番組「料理の鉄人」にも関わったテレビディレクターであり演出家、同人誌「食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編」発行人も務める「食べ方学会」会長の市島晃生。崎陽軒本店のランチバイキングで「シウマイ49個」を食べた記録も持つベテランテレビマンだ。
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「のれんを守る」より「ブランドを活かす」
──人々の嗜好の変化に合わせて、例えばシウマイの大きさや玉子の焼き具合など、変えている部分はあるのでしょうか。
シウマイのレシピは一切変えていません。まあ、製造方法が、手握りから機械生産に変わったという意味では、まったく一緒ではないですが。
「崎陽軒」4代目社長に就任した野並晃氏、「崎陽軒Walker ウォーカームック」(2018年、KADOKAWA刊)
実は1983〜88年は「あんずよりさくらんぼの方が時代に合っているのでは?」とか、1989〜92年には「唐揚げよりエビフライの方がいいか?」とかと類推して、意図的にお弁当の中身を変えたことがあるんです。
その時はお客様から「なんでさくらんぼなんだ! あんずだろ!」との声をいただき、「やっぱりあんずですよね(汗)」となって、戻したんですが(笑)。