横浜名物シウマイの妹分として、1954(昭和29)年に登場したシウマイ弁当。「地元、神奈川県民はこの弁当の俵型ご飯、シウマイ、その他の惣菜の配置を正確に描ける」ともいわれる。
愛されるこの弁当を作り続ける老舗、「崎陽軒」には、実はこの5月に新社長が就任した。創業家の4代目、野並晃氏だ。ちなみに社長交代は31年ぶりという。
野並氏は慶応大学経済学部卒業後、キリンビールに営業職として勤めた後、崎陽軒に入社。また2021年1月からは1年間、日本青年会議所の第70代会頭を務めている。そんな晃氏に、社長就任までの経緯、シウマイ弁当の思い出、キリンビールでの「サラリーマン」時代のこと、そしてローカルブランドとしての戦略などを聞いた。
聞き手は、あの伝説のグルメ番組「料理の鉄人」にも関わったテレビディレクターであり演出家、同人誌「食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編」発行人も務める「食べ方学会」会長の市島晃生。崎陽軒本店のランチバイキングで「シウマイ49個」を食べた記録も持つ。マスコミの世界で、365日、苛酷な不規則勤務を強いられる業務をこなしながら、今日の仕事と明日の充実のため、「後悔しない今日の一食」を追求し続けてやまないベテランテレビマンだ。
>後編 「崎陽軒ムック本」もあるシウマイ弁当 新社長の食べ方流儀
青年会議所を40歳で「卒業」、いよいよの社長就任
──まずは社長ご就任おめでとうございます。4代目社長就任の経緯は?
ありがとうございます。
昨年5月末の取締役会で、現会長が「1年後に社長をゆずる」と公の場で発言しました。そこで自分も「1年後に社長になるんだな」と。
会長は今年73歳ですが、70歳になった時一度、「どうだ?」と聞かれたことがあるんです。しかし当時私は青年会議所(Junior Chamber International、以下JCI)にやりがいを感じていて、「もう少し待って欲しい」と言ったんです。
社長に早くなりたいというより、社外で良い経験が積めていた。だから、いただいた機会をまっとうしてその経験を社内に活かしたい、その思いが当時は強かったのです。
そして40歳になった今年。「JCIの卒業は40歳」というルールがあることもあり、ひとつの節目となりました。