玉子焼きが一瞬消えたこともあって、2003年に復活したり。最後に変わったのは「レンコンの炒め煮」でしょうか(2019年に期間限定で発売された「ありがとう平成シウマイ弁当」で、かつて入っていたエビフライ、大根漬け、レンコンの炒め煮を復活させた)。
──そこらへんのシウマイ弁当の変遷は、詳しくは「崎陽軒ウォーカー」に載っていますね。
はい。時系列で見たり、食べる順序で切り取ったり、こんなふうに無限のアングルから取り上げて愛して、いじっていただけるお弁当って、すごいですよね。売っている私が言うのもなんなのですが。
──神奈川県民は「シウマイ弁当」の俵型ご飯、シウマイ、その他のお惣菜の配置を正確に描けますからね。
ありがたいことです。どこにそういう、お客様が楽しんでくださるヒントがあるかわからない。
10年前は、食べ方の順番に興味を持つ方なんてそんなにいなかったと思うんです(笑)。さらに、もしもこだわりを持っていたとしても、発信する場所もなかった。
情報発信の形が変わっていき、必要でない情報もどんどん出回るようになった。そんな中で崎陽軒の商品を楽しんでいただけたらすばらしい、という思いはあります。
のれんを守るより、積み上げてきた歴史、ブランドを「活かしていく」ことを意識したい。せっかく持たせてもらっているこののれんを活用して、横浜をもっと好きになっていただく、地域を好きになっていただく、そういった取り組みをしていきたいと考えています。
主役でなくていい、メインを彩る存在でいい
──日本のビジネスマンの方々に、シウマイ弁当をどう楽しんでもらいたいでしょうか。
崎陽軒だけで楽しみが完結するシーンってないと思っているんです。例えば横浜スタジアムで野球を見ながらとか、横浜に来た時の思い出としてお土産に買っていただくとか。ビジネスパーソンだったら、会議のお弁当にシウマイ弁当が出たり。主目的を彩る周辺のアイテムとして、色んな風景に崎陽軒の商品がいてくれたらいいなと思います。
──出張の時の新幹線や飛行機。乗る前に買っていくのも楽しみです。
はい。その需要が一定数あったので、この2年間は大変だったというのもありますね。その分、ご自宅から動けない方々のために、「おうちの中」にお邪魔して、旅の思い出を感じていただけるような「おうちで駅弁シリーズ」を出させていただきました。
おうちでジャンボシウマイ miniをカットして食べたら盛り上がった、など好評です。そんなふうに、外でもおうちでも、目立たなくていいので「気づいたらいる」みたいな立ち位置がいいかなと思っています。