サッカーが好きな方はご存じかもしれないが、ブラインドサッカーはゴールキーパー以外が全盲の選手で、アイマスクを装着し、音の出るボールでプレーする5人制のサッカーだ。東京2020パラリンピックで男子日本代表は、初出場で見事5位入賞を果たした。
競技を統括する日本ブラインドサッカー協会は、競技の普及や日本代表の強化を進める一方で、小中学校などでのダイバーシティ教育や企業研修といった活動にも積極的に取り組んできた。
そしてまた、人が無意識に持つ偏見(アンコンシャス・バイアス)を測定し可視化する「UB-Finder(ユービー ファインダー)」のプログラム開発を自ら行い、企業や団体の研修事業への提供も行っている。
競技団体として、そこまで手がける理由は何か? 日本ブラインドサッカー協会専務理事兼事務局長の松崎英吾氏に話を聞いた。
──ブラサカ協会では競技そのものの事業に加え、非常にユニークな取り組みをなさっていますね。「UB-Finder」もその一つですが、開発したきっかけを教えてください。
「あなたは障がい者に対して偏見を持っていますか?」と聞くと、ほとんどの人が持っていないと答えるのではないでしょうか。しかし主観ではそう思っていても、気がつかないうちに差別してしまっているということがよくありますよね。
そこで無意識バイアスを測定できるシステムを作ることにしたんです。英語のものはあったのですが、日本語ではありませんでした。
我々は理念として「視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会の実現」を掲げています。小中学校などで、アイマスクをつけた人とつけてない人がペアになって体を動かすメニューなどを行い、ボランティア精神や障がい者への理解を学ぶ、体験型ダイバーシティ教育プログラム「スポ育」を実施したり、自治体や企業向けに体験型研修「OFF T!ME Biz」を提供したりと、競技から一歩踏み出した活動にも力を入れてきました。
パラリンピックなどもあって環境整備や理解は進んできたものの、障がい者に対する眼差しや意識にはまだ大きな変化が必要だと感じています。
体験型ダイバーシティ教育プログラム「スポ育」