ラグビー五郎丸歩、CRO初年度の「業務評価」。社長がつけた点数は?

写真右)静岡ブルーレヴズ代表取締役社長の山谷拓志氏

写真右)静岡ブルーレヴズ代表取締役社長の山谷拓志氏

現役引退後、クラブ経営者への道を選んだ五郎丸歩氏の静岡ブルーレヴズCROとしての初シーズンが、新型コロナ禍に翻弄されながらも終わりました。

ご自身に総括いただくのを楽しみにしていましたが、今春から通い始めた早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の授業という、これもまたクラブ経営者への大切な道中……ということで今回特別に、上長である静岡ブルーレヴズ代表取締役社長の山谷拓志氏に登場いただき、「五郎丸CROの業務評価」をお願いしました。


CROだけではない──


──まず、あらためて五郎丸さんのCRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)としての業務について、教えてください。


実は彼との契約は三層立てになっていて、もちろんCROの業務が中心ではありますが、それだけではないんですよ。

1つ目はレヴズをPRする、CROとして色々なステークホルダーの方との関係構築をする顔になることで、2つ目が実務。チケットの企画担当です。

CROという肩書きは、サッカー元日本代表でJ1鹿島アントラーズの中田浩二さんが名乗られていたんですね。現役時代に功績を残した選手が引退後もクラブに関わって、クラブを取り巻く人たちと良い関係を築き、コミュニケーションを取っていく役割で、まさにこれだなと思ったんです。アントラーズにも許可をいただいて、彼に「この肩書きでどうだ」と話したら、「すごいぴったり来るし、僕のやりたいことです」という反応でした。

経営にも興味があると言うので、実務もやったら? と持ちかけました。「チケット1枚売るところから始めたらどうだ?」と。これも「ぜひやりたい」という話になりました。どちらもいわゆる「お飾り」とは対極の仕事です。

そして3つ目。実務があるとは言っても、彼にはタレント活動や講演などの依頼が沢山来ますので、そのマネジメント事業です。元々別のマネジメント事務所がついていたのですが、CRO就任と同時に契約を切り替えました。もちろん売り上げ増という目的もありますが、社の実務と彼のタレントとしての活動の間に、例えばスケジュール調整ひとつ取ってもコンフリクトがやむを得ず起きますよね。

それなら、我々レヴズが彼のマネジメントもやろうということになったんです。ご・ろう・まるの頭文字を取って「GRM事業」と呼んでいます(笑)

──では、お決まりの質問ですけれども(笑)、今シーズンの五郎丸さんの業務に点数をつけるとすれば何点でしょうか?

期待値に対して、90点には達しています。

一番の大きな目標は「ホストゲーム開幕戦を満員にする」ことでした。しかし残念ながらコロナで中止になってしまいましたので、そこは評価し切れないところです。

スポンサーセールスへの貢献度とか、彼のタレントマネジメントでの売り上げとか、そういったところの目標は達成しています。しかもかなり上振れしてクリアしています。

スポンサーへのシーズン終了報告にも可能な限り同行(写真中央はヤマハ発動機代表取締役社長の日髙祥博氏)
スポンサーへのシーズン終了報告にも可能な限り同行(写真中央はヤマハ発動機代表取締役社長の日髙祥博氏)

──高得点ですね! 貢献度において、どういった点が評価につながりましたか?

経営者の方とお会いする場に一緒に来てもらうと、スポンサーの話を絶妙なタイミングで切り出してくれるんですよ。ある社長さんとお会いした時にも、「僕はこういう思いでやっているので、ぜひスポンサーを検討してほしい」と彼がストレートに訴えかけたんですね。そうすると「営業されて嬉しかったのは初めてだ!」と喜んでくださった。これは彼でなければ無理だな...と思いました(笑)
次ページ > 地味な仕事を最初にアサインした理由

文=大島和人 写真=BLUEREVS LTD. 編集=宇藤智子

タグ:

連載

Forbes Sports

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事