そしてプラスアルファ、社員への気遣いなど会社の一体感に対する彼の貢献は、副次的なものではありますけれど十分に評価できる部分です。
人の仕事をしっかりケアするんです。ヤマハ発動機時代からのクラブに対する愛情・愛着もあると思うのですが、決められた役割以外の気遣い、立ち回りができる。経営者に必要な資質でもあります。近い将来、リーダーシップをとってもらいたい、部門責任者をやってもらいたいと思っています。
静岡ブルーレヴズのスタッフの皆さん
──ホストゲーム開幕戦が中止になったことはとても残念でした。葛城北の丸の宿泊付き観戦チケットをご自身で一からプロデュースするなど、精力的に取り組んでいらっしゃいましたね。
まだ社員としての契約が決まってない時でしたが、いきなりパソコンを開いて、パワポで企画書を見せてくれたんです。VIP席での観戦と高級旅館の宿泊をパックにする内容で、「収支は?」と聞いたら、すぐ「考えました」と戻してきました。センスがあるな、と思いました。
企画や準備もですが、中止が決まってからも、キャンセル等について1件1件丁寧に対応していました。そうした姿勢が第二弾にもつながり、今後にも生きるはずです。
クラブ経営者に必要な勘所とは?
──チケット担当は営業などに比べても裏方的な、地味な仕事です。そういう仕事を最初にアサインした狙いはなんですか?
スポーツビジネスの第一歩は、お客様を集めることです。チケットをいかに売るか、お客様をいかに呼ぶかといった流れに関わることは、今後スポンサーセールスとか、他の色々な業務の中で必ず役立ちます。チケットセールスの勘所が分からないと、プロクラブの社長をやっても上手くいきません。
そういえば彼は開幕前、浜松に出て、一晩で180万円くらい売ってきたんですよ。
──チケットは1枚3千円ほどが中心ですけれど、どうやって売ったのですか?
主にシーズンチケットや回数券、パックチケットです。経営者の方の集まりに行くと「お前も買えよ」「従業員を連れていってやれよ」といった感じで、即売会みたいになることがあるんです。カードリーダーを持っていく場合もあります(笑)。
もちろん一晩で180万売ったからといって10日間で1800万売れるわけではないですけど、「こうすればチケットを買ってくれる」「こう話せばラグビーに興味を持ってくれる」というポイントがよく分かる。チケット販売の広告を出すにしても、勘所が分かるようになるわけです。
少しベタですけど、こういったダイレクトな感覚はとても大事だと思っています。