ビジネス

2022.07.07

世界で上場ラッシュのフード・アグリテック、日本で投資が進まない理由

AgFunder代表でオーストラリア在住のMichael Dean

AIやロボットを活用した農業分野でのテクノロジー開発や、代替肉による持続的な食糧生産に貢献するアグリテックとフードテック。今年3月、これらの分野に投資するインパクトファンド「AgFunder SIJ Impact Fund」が設立された。

立ち上げたのは、シンガポールのベンチャーキャピタル「AgFunder Asia」と、サステナビリティファイナンスに特化したアドバイザリー企業「SDGインパクトジャパン」。AgFunderがSIJの協力を受けて、特に日本との関連性が高く、成長性も高い技術を持つスタートアップをグローバルに発掘し、投資するファンドとして注目されている。

このほど「AgFunder」の共同創業者であり、グローバルなビジネスリーダーでもあるMichael Deanが来日。国内外のアグリテック・フードテックトレンドについて聞いた。

フードテック、アグリテック市場の注目テーマは


──フードテック、アグリテック市場について。現在はグローバルでどのように成長しているのでしょうか。


私たちの最新のレポートによると、この分野への投資額は、2020年の2兆9000億円から2021年には5兆円まで跳ね上がっています。グローバルでは、上場ラッシュも迎えています。

様々な背景がありますが、まずは、パンデミックの中でサプライチェーンが破壊されたことが挙げられます。その結果、食品の配送に数多くの不確実性が生じ、多くの食品廃棄物が発生しています。世界中で生産した食品の約35%を廃棄しているのです。

また、牛の飼育などのフードシステムによる二酸化炭素排出が、地球温暖化の原因になっていることも問題となっています。

私たちはこれらの問題に迅速に取り組む必要があり、そのためには技術が重要な役割を果たすと考えています。だからこそ、フードテック、アグリテックに注目が集まっているのです。私たちは、この分野は間違いなく成長すると見ています。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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