ジョニー・デップの裁判で浮かび上がったリーダーへの4つの教訓

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3億3千万人以上が視聴した今世紀最も注目された裁判のひとつから、リーダーが学ぶべき教訓が浮かび上がってきた。私たちは、文脈から逸脱した言動が、いかにその人自身の人生を左右するかを目の当たりにしてきた。人格がいかに認識や判断に影響を与えるか。そして嫌いなもの、嫌いな人をめぐって、人々がいかに簡単に団結してしまうかということもわかった。この裁判のダイナミクスは、リーダーにとって4つの重要な教訓を与えてくれた。

1. 好感が信頼につながる


アンバー・ハードに関する一般的な意見として、彼女は証言台で「好感を持てなかった」というものがある。そしてそのことが、彼女の信頼性や信用性に影響を与えた。メッセージの内容よりも、誰からメッセージが届けられるかが重要だ。人を信じるか信じないかというのは心の中で行われるかなり難解な計算だ。というのも、通常、私たちは見知らぬ人を信頼するかどうかを決めるのに、十分な証拠や過去の経験を持っていないからだ。そこで、私たちは信頼を、もっと簡単に理解できるものに置き換える。それは、単純にその人のことを好きかどうかということだ。好感を持たれることを重視すれば、信頼はたいてい後からついてくる。

残念ながら、指導的立場にある女性は、好感が持てることを証明するために、余計な負担を強いられる。男性と女性が同じことを同じ調子で言うと、男性は「自信家」、女性は「攻撃的」というレッテルを貼られることがよくある。

リーダーシップコーチング、特に信頼性に関するコーチングは、リーダーが自分自身を可能な限り最良の状態で見せるのに役立つ。信頼性は、コーチングが可能な特性だ。従来、トレーニングには、自分自身をよりよく理解するための内省的なアセスメントが含まれている。

2. 発言は文脈から切り離されて広がる


カメラが常にある世界では、リーダーの発言はすべて文脈から切り離され、次の拡散ミームのネタにされてしまう可能性がある。多くの視聴者が裁判のクリップを取り出し、さまざまな音声やキャプションなどをつけて、「TikTok裁判」を効果的に作り上げた。人々は、どんな瞬間も細かく分解することができ、そしてそれ自身が独自の力を持つようになった。今や、物語をコントロールできなくなることは、かつてないほど簡単になっている。

リーダーは、すべてのタウンホールが非公開であるわけではなく、すべての論争を呼びそうなメールが社内にとどまるわけではないことを、覚えておくとよいだろう。例えば、グーグルは、職場の性別の多様性に関するある社員の意見を詳細に記した不名誉なメモがメディアにリークされ、ネガティブな報道を受けた。この社員は解雇されたが、グーグル社内の多様性指標と男女の賃金格差に不快な光を当てることとなった。

3. 予行演習を行うことの重要性


予行演習は、リーダーが自分自身や決定事項がどのように受け取られるかという過信やバイアスを取り除くための効果的な手法だ。この技法は、未来に目を向けて、何かがうまくいかない可能性をすべて予測し、逆算して解決策を講じることで、潜在的なマイナスの結果を防ごうとするものだ。このような対策を行うことで、これまで見過ごされていた、あるいはまったく考慮されていなかった結果やリスクを検討することができる。この裁判の場合、予行演習はデップの魅力や熱狂的なファン層といったリスクを、ハードの弁護団が見抜くのに役立ったかもしれない。

4. 常に誠実さが勝つ


社内広報やPRチームとして、リーダーをすべての不注意から守ることはできない。しかし共感性、好感度、信頼性といった重要な特性についてリーダーを教育することで、失敗を和らげることができる。何よりも、リーダーが誠実であれば、従業員や世間からの好感度をすばやく回復させるのに役立つだろう。

翻訳=Akihito Mizukoshi

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