素材を「ぶつけて作った」プラスチック? リサイクルも可能な「LandLoop」の秘密

ランドループ製の買い物かご

大量生産が可能で安価なプラスチックは、軽量で加工がしやすい便利な素材として、身の周りの多くの製品に使われている。

ただ、近年の世界的な流れは「脱プラ」。国民生活センターによれば、背景には「埋め立て処分場の不足」や「海洋プラスチック問題」「人体に有害な添加物が含まれている可能性」などの問題がある。そこで、プラスチックの使用禁止や、代替素材への転換などといった施策がとられるようになった。

なかでも代替素材への転換例として注目が集まっているのが、植物などの再生可能な有機資源(石油や石炭などを除く)を原料とする「バイオマスプラスチック」だ。生産量は年々増加していて、欧州バイオプラスチック協会によると、2020年に世界で製造されたバイオマスプラスチックは211万トン。2025年には287万トンまで伸びると推計されている。

そんな中、繊維商社の豊島が新しいバイオマスプラスチック「LandLoop(ランドループ)」を生み出した。地球環境や人体に有害な添加剤を使用せずにバイオマスと樹脂原料を結合させる新しい技術を導入し、未来への負荷をより少なくすることに成功した。



「衝突融合」でリサイクルも可能に


豊島は、30年以上前から「持続可能な未来」をつくることを目的に、サステナブル素材の取り扱いや新しいテクノロジーを活用した価値提供に取り組んできた。

例えば、廃棄予定の食材を生地の染料として再活用するプロジェクト「FOOD TEXTILE」や、オーガニックコットンの普及プロジェクト「ORGABITS」などである。

こうしたサステナブルな製品やプロジェクトの開発を目指すなかで、同社営業担当の加藤啓充(東京二十部六課 課長)が、「衝突融合」という特許技術を持つ企業と出会い、ランドループが生まれた。

「我々は繊維商社なので、プラスチックは専門外ではありました。でも、アパレルブランドとの取引が多い当社だからこそ、ライフスタイルに寄り添った製品の提案ができるのではと考え、開発に着手しました。多くの消費者に、バイオマスプラスチックの認知を広げることにもつながります」(加藤)
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文=久野照美 取材・編集=田中友梨

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