テクノロジー

2022.06.29 10:00

素材を「ぶつけて作った」プラスチック? リサイクルも可能な「LandLoop」の秘密


目指すゴールは、ランドループの製品化から再利用までを行う「循環型プラスチック」のスキームを広め、多くの企業に取り入れてもらうことだという。


ランドループで実現する「循環型プラスチック」のスキーム

一般的なバイオマスプラスチックは、「バイオマス」と「樹脂」という融点の異なる素材を接着してつくる。その際に添加剤を加えて高温処理をするのだが、この添加剤が人体や環境に悪影響を与える可能性があるとして問題になっていた。

また、リサイクルの難しさも課題だった。接着時に高温処理の過程を経るので、リサイクルのために再度高温処理する際に劣化が起こるからだ。

ランドループは、以上の2点をクリアした新しいバイオマスプラスチックである。

原料に400℃の熱を一瞬加えて、分子レベルでバイオマスと樹脂を融合させる技術「衝突融合」を採用している。この技術によって、基本的に添加剤は不要になる。素材によっては使用する場合もあるが、その際も食品衛生法をクリアしたものを使用する。

また、製造時に高温処理を施していないため、再生しても劣化することがなく、リサイクルも可能だ。

ブドウの皮やホタテの身殻もプラスチックに


製品としてのランドループの魅力は、1点ずつ表情が違うところ。

プラスチックといえば、表面がツルツルで無臭だが、ランドループは原料ごとに見た目も匂いもまったく違う。

例えば杉の樹皮を原料にした場合、茶系の模様が入りほのかに杉の香りもするバイオマスプラスチックができる。

原料となるバイオマスは、粉末にできる有機資源であれば何でも使える。ワインを製造する時に出るブドウの皮や、ホタテの身をとった後の殻など、製造過程で出る廃棄物を原料にすることもできる。

これまでには、竹炭(端材)、コーヒー(残渣)、パイナップル(皮)、竹粉(間伐材)、木粉(おがくず)などを原料として使用し、サンプルを制作した。


様々な原料を使ってつくったランドループ(サンプル)

「例えば、荒れた森を整備して、間伐材をランドループの原料にするなど、地球環境を守る活動にもつなげていきたいと考えています」(加藤)


ランドループでつくった切り株型プランター(サンプル)
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文=久野照美 取材・編集=田中友梨

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