テクノロジー

2022.06.29 10:00

素材を「ぶつけて作った」プラスチック? リサイクルも可能な「LandLoop」の秘密


なお、素材の配合率は、製造したいプロダクトに合わせて、次の3種類から選べる。

・天然由来100%の「オーガニックプラスチック」は、天然由来のバイオマス51%+PLA(トウモロコシやジャガイモに含まれるポリ乳酸樹脂)植物由来樹脂49%

・天然由来51%の「再生バイオマスプラスチック」は、天然由来のバイオマス51%+再生PP(ポリプロピレン)49%

・天然由来25%の「通常のバイオマスプラスチック」は、天然由来のバイオマス25%+PP75%


3つ目のバイオマスプラスチックは、機能性を保持するために石油由来の原料を含むものの、一般的なプラスチック素材よりも環境負荷が低い。


原料となるバイオマス

おもちゃやファッションアイテムなど商品化も進む


では、実際にはどのような製品となって消費者の目に触れることになるのだろうか。

「ランドループは、食器、ハンガー、買い物かご、ボタンなど、あらゆるプラスチック製品の代替素材なります。アパレルブランドの店頭で、商品をディスプレイする什器に使用していただくことも想定しています」(加藤)


ランドループを使用した食器(サンプル)

すでに、複数のメーカーから商品化の相談もきているという。そのひとつが、世界的なおもちゃメーカーだ。

「素材の色や匂いといった個性豊かな点などを気に入っていただき、ランドループを使用したサステナブルなフィギュアを開発中です」

ほかにも、大手ファッションブランドとハンガーをつくる計画が進行していたり、著名なタレントと地方特産の木材を使ったサングラスを開発をしていたり、多くの引き合いが寄せられている。ドリップコーヒーを提供するコンビニチェーンからは、コーヒー残渣を活用したいという相談も来ているという。

これらは、早いものでは年度内に商品化され、市場世に出ていく予定だ。


ランドループを使用したハンガー(サンプル)

ランドループの今後の展開として、加藤は「地域活性」にも力を入れていきたいと、次のように語る。

「日本各地のバイオマス原料を使ってランドループをつくり、その地方にしかない文化や伝統、価値観などをクリエイトしていきたい。各都道府をコンプリートするようなグッズをつくって、それを集めてくださる観光客を通して、ランドループを国内外に広げていけたらと考えています」

アパレルを扱う商社のいち課長の試行錯誤から始まったランドループ。地球環境にも配慮したプロジェクトは、これからも大きな市場を生み出す可能性を秘めている。

文=久野照美 取材・編集=田中友梨

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