樹木が理想的な再生可能エネルギー源になる理由

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樹木をはじめとする木質バイオマスは、再生可能エネルギー源のなかでも物議を醸している。だが、それはおかしい。というのも、木質バイオマスは、適切に管理すれば、極めてサステナブルな資源になるからだ。

バイオマスをエネルギー源と考える際には、潜在的に多くの落とし穴がある。一部の形態のバイオマスは、栄養素を大量に消費し、したがってかなりの施肥が必要とされる場合がある。それはつまり、肥料生産に多くの化石燃料が投じられ、土壌が消耗するリスクが高くなる可能性があることを意味している。また、一部の作物は、水も大量に消費する。

樹木は違う。一生の最初の10年ほどは、木は年間に1エーカー(約4047平方メートル)あたり7~10絶乾トン(絶乾トンは、含水率ゼロ%で算出された実重量)のペースでバイオマスを生成する。他のバイオマス源でこうした規模の収量がうたわれているのを目にしたことがある人もいるかもしれないが、それはほぼ間違いなく、肥料と大量の水によって実現したものだろう。

だが、樹木を活用すべき、さらに説得力のある理由も存在する。ときに燃料生産の原材料になる場合があるほとんどの短期輪作作物とは違って、木は実際に、土壌の質と健全さを向上させる。

なぜなら樹木には、下層土から栄養素を吸い上げ、葉や樹皮で濃縮する力があるからだ。その葉や樹皮が最終的に地面に落ちると、土壌に有機物が加わることになる。使用する木の種類にもよるが、森林を管理すれば、燃料を提供すると同時に、土壌の質を高めることができるのだ。

カーボンリサイクル


もちろん、重要な問題がある。樹木を燃料に使用する場合のカーボンフットプリントだ。エネルギーを得るために木を燃やすと、その木が隔離したばかりの二酸化炭素が放出されることになる。

木を育て、そのあとに燃焼させるサイクルのあいだ、大気中の二酸化炭素の正味排出量は変化しない。これは、たとえば石炭を燃やす場合とは異なる。石炭の場合、大昔の二酸化炭素が放出され、大気中二酸化炭素の正味排出量は増加する。

現実には、「木からエネルギーへ」のスキームのカーボンバランスに影響を与える要素は他にもある。たとえば木の根は、多くの炭素を地面の下に隔離する。場合によっては、根が何十年にもわたって、木の使用可能な部分に存在する以上の炭素をとどめておくこともある。

方程式の反対側にあるのが、木を育て、運び、ペレットなどの使用可能な形態に変換するために必要なエネルギー投入量だ。だが、ライフサイクル分析(LCA)をすれば、各種のインプットとアウトプットを整理し、カーボンフットプリントを計算することができる。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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