幸いにして、それはすでに実施されている。メリーランド州を本拠とする上場企業エンビバ(Enviva Inc.)は、サステナブルな木質ペレットの世界最大の製造会社だ。こうした木質ペレットは、主に欧州の石炭火力発電所で、石炭のかわりに使われている。
2019年、エンビバのある大株主が、調査会社バウンドレス・インパクト・リサーチ・アンド・アナリティクスに、木質ペレットエネルギーの持続可能性とカーボンインパクトの検証を依頼した。
バウンドレスは、木質ペレットに伴う温室効果ガスのインパクトに関する最新の査読つき論文を用いて、木質ペレットサプライチェーンから放出される温室効果ガスのライフサイクル分析をおこなった。分析にあたっては、木質ペレットのカーボンフットプリントを、石炭や天然ガスなどの他の燃料と比較した。
その報告書には、多くの重要な知見が含まれている。なかでも注目すべきは、木材をベースにしたバイオエネルギーによって、風力や太陽光などの間欠性エネルギー源を、安定したエネルギーで補完できる点が強調されていることだ。現在のところそうした役割は、サイクルの速い天然ガス火力発電が担っているが、木質ペレットなら、その何分の1かのフットプリントで実現することができる。
したがって、適切に管理さえすれば、樹木は理想的な再生可能エネルギー源になる可能性がある。木は、燃料を提供し、炭素排出量を減らすだけでなく、下層土から表土への栄養素の再循環という重要なはたらきを行う。木が切り倒されたあとには、植え直すこともできる。
こうした木の利用は、熱帯雨林や原生林の木を使うこととは明らかに異なるものであり、その両者を混同すべきではない。