衛星写真で判明、「79万年前の巨大隕石」が生んだクレーター

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およそ79万年前、巨大な隕石が地球に衝突した。これは巨大隕石の衝突としては最も新しいもので、吹き飛んだ破片や粉塵で地球全体が覆われるほどの規模だった。直径1キロ級と推定される隕石の衝突で形成されたテクタイトと呼ばれるガラス質の石は、アジアやオーストラリアのみならず南極からも発見されている。

その巨大さや年代が比較的新しいことから衝突地点は簡単に特定できそうだが、これまで明確なクレーターが発見されていなかった。

しかし、先日、学術誌「米国科学アカデミー紀要」に発表された論文で、この巨大隕石がラオス南部に衝突し、直径13~17キロのクレーターが形成されたことが指摘された。クレーターはその後、溶岩によって埋まってしまったため、これまで発見されなかったという。

重量が最大で20キログラムにも達するテクタイトの分布から、「地球で最も見つけづらいクレーター」は東南アジアのどこかにあると考えられていた。論文の共著者でシンガポールの南洋理工大学の地質学者Kerry Siehは、その考えに基づき、隕石が衝突した可能性のある地域の衛星写真を分析した。

そして、ラオス南部のボラベン高原に、巨大クレーターを隠すことができそうな厚みのある平らな溶岩が広がる地域を発見した。ボラベン高原の周辺地域では不規則なブロック状のテクタイトが見つかっている。

テクタイトは衝突によって地上の岩石が溶けることで形成され、飛び散る際に急速に冷却される。ブロック状のテクタイトは、空気力学的な影響を受けた形跡がないため、衝突地点から遠くに飛んでいないと考えられる。

さらに溶岩の年代が5万1000年~78万年前であり、周辺の堆積物はそれよりも古いことが現地調査から判明した。

この規模の隕石の衝突は100万年から500万年に1度の頻度で起きるとされている。79万年前と言えばすでにアフリカで人類の祖先が活動していた時期だ。

編集=上田裕資

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