I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Photo by Brett Hemmings / Getty Images

スペイン北西部ガリシア州で生まれ育った私は不運ながらも、オレンジ色の太陽が重たい煙によってほぼ隠された光景や、独特な火災の匂い、鳥の鳴き声がなくなった森、火の手が次の村に到達するまでに止められるかどうか分からないことの恐怖感を良く知っている。この記憶を回想して100倍にすると、それは理解を超えた大惨事となる。

そうした想像を絶する大惨事がまさに、オーストラリアで起きている。これは毎年繰り返される現象の一環だと主張する者もいるが、今年の森林火災の規模と深刻さはこれまでに類を見ないものだ。犠牲者の数は20人を超え、延焼面積はベルギー国土の倍以上、昨年のアマゾン火災の6倍に匹敵する600億平方メートル余りに達した。

住宅1000棟以上が焼失し、さらに数百棟が損傷。多くの人が避難を余儀なくされた。煙の雲は欧州の大きさに広がり、100カ所以上で火災が現在も続いている。これが普通だと装うことは、無知の証しにしかならない。

オーストラリアでは森林火災が頻繁に発生する。実際、ユーカリの木の中には、炎によって種を放出するものもある。しかし、今年の火災はこれまでとは大きく異なる。史上最高気温が相次いで記録され、干ばつが続いた中で、森林火災が例年よりずっと早く発生した。科学者らが予想した気候変動の影響が、そのまま実現しているのだ。気候変動は今や、喫緊の問題となっている。

オーストラリアの森林火災は、無能な政府が気候変動の影響に直面した場合に何が起きるのかを示している。火災と気候変動はつながっており、これを否定することは事実を無視することと同じだ。しかし、こうした科学的事実は別として、オーストラリアが氷河時代ならぬ「火の時代」に突入したことは、無責任な政策の結末を決定的に示している。

オーストラリアの森林火災は、自滅の物語だ。同国では保守政権が長年にわたり石炭業界から利益を得て、環境保護政策を進めなかったことにより、シンクタンクがまとめた「2020年気候変動パフォーマンス指標」では57カ国中最下位となった。緊急事態を無視すると、その影響に苦しむことになるのだ。

編集=遠藤宗生

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