日本にはオーケストラがたくさんあります。特に東京には、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団といったプロのオーケストラがありますが、すべて公益財団法人です。
JNOが株式会社を選んだのは、公益財団法人のように公共への利益を目的にするだけではなく、活動から利益を生み出し、自分たちでやりたいことができるように、またメンバーに還元したいと思ったからです。
反田は車好きの一面もあり、BMWのブランド・フレンドも務める。BMWアート・カーの20番目となる最新モデル「THE 8 X JEFF KOONS」の前で。自身の愛用車はX7。1カ月で2000キロも乗っているという。「車での移動中は、集中して音楽と向き合うことができる大切な時間です」(反田)
オーケストラというと、どうしても集団としてみられてしまいますが、僕は集団ではなくて、一人ひとりの顔が見える団体をつくりたかったんです。リサイタルは、まさに個々の顔が見える場ですよね。そうした個の集合として捉えていただくことで、JNOのファン層も広がると考えています。
現在、アーティスト契約をしているメンバーは20人ほど。僕を含めてみんなそれぞれの夢や目標を持っています。それらを叶えていくためにも、利益を出していく必要がある。それには株式会社がいいという判断です。
──その裏には、国内のクラシック界への課題感があるのでしょうか。
クラシック、音楽に限らず、どの業界でも海外のほうがフレキシブルだと思います。
日本ではコンサートの企画を1年前、早ければ2年前から企画をしますが、海外では2週間前など直前になって「こういうコンサートを開催するので出演お願いします」という依頼がくることも多い。だからこそ旬の奏者を呼ぶこともできます。
ギャラさえ支払われれば問題はないという考え方です。ただ、そこに満足しないとストライキを起こすといったイメージですね。日本は「おもてなし」文化があるからこそ用意周到にしなければならず、やりにくさもあります。
だからJNOは、いい意味で日本っぽくない、海外スタイルの団体にしたいんです。海外にいるソリストも、勉強中の奏者も、日本国籍ではないアーティストも呼んでいきたい。新しい形で、みんなの夢を叶えていきたいと思っています。
──所属アーティストとの契約形態は?
一人ひとりに合わせて変えています。メンバーにはすでにオーケストラに所属していて自立できている人、ソリスト、学生と様々です。JNOからの条件としてはなるべくコンサートにでることと、ソロリサイタルを東京と奈良で開催すること、を提示しています。
また、メンバーの衣食住すべてをカバーできればと思っています。例えば、衣装や移動用のスーツケースなどを提供しているほか、食事についてもDMG森精機の会長と社長のはからいで、決まった場所であれば無料で食べることができます。近く奈良にできるDMG森精機のオフィスにある社員食堂では、昼も夜も食べられるようになる予定です。
住居に関しても寮を提供しているので、希望すれば衣食住全てのサポートを受けることができます。今後は育休などの導入も検討していかないといけないと思っています。
──メンバーになるためにはどうすれば良いのでしょうか?
新規メンバーについては……、我々は「秘密結社」ですので、入団の方法は明らかにしていません(笑)。ヒントとして言えるのは、僕からの電話を待ってくださいということです。
一方で、出ていくのは自由としています。