例えば、腕利きの殺し屋である主人公が、ひと仕事を終え家に戻って食べる日本製シリアルの箱には、可愛いマンガのイラストが描かれ、カタカナで大きく「シリアル」と書かれている。
物語を通じての「進行役」ともなる携帯電話はパンダの形をしており、主人公が金を運ぶキャリーケースもパンダを模したデザインとなっている。
主人公が着用しているTシャツにも「マシュマロ」などの日本語があしらわれており、これがファンシーな雰囲気を醸し出している。
もちろん、作品自体はハードなアクションの連続で、銃撃戦あり、カーアクションあり、生身の格闘シーンもある。バイオレンス&ファンシー、このミスマッチな感じが劇中で不思議な化学反応を起こしており、これが「ガンパウダー・ミルクシェイク」を貫く魅力かもしれない。
異色な図書館でのバトルシーン
主人公のサム(カレン・ギラン)は名うての殺し屋。1人で何人もの敵を倒してしまう凄腕の持ち主だ。ある日、「ファーム」と呼ばれる組織の上司ネイサン(ポール・ジアマッティ)から、いつもの打ち合わせ場所であるダイナーに呼び出される。
サムが座るテーブルにはストローが2本刺されたミルクシェイクが載っている。15年前この場所で、同じく殺し屋をしていた母親のスカーレット(レナ・ヘディ)はサムの前から姿を消した。それ以来、会うことはなかったが、2人で1つのミルクシェイクを飲んだ思い出が、今日も2本のストローに込められていた。
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ダイナーでサムがネイサンから命じられた仕事は、組織の金を持ち逃げした会計係から、速やかにそれを取り戻すことだった。サムはホテルの一室で会計係を発見するが、そこでパンダの形をした彼の携帯が鳴る。サムは撃つつもりはなかったが、電話に出ようとする会計係と揉み合ううち銃が暴発し、彼は瀕死の重傷を負ってしまう。