タイトルに「THE」が付けられているとおり、これまでのバットマンの「決定版」的な意味合いが感じられる作品だ。
監督はマット・リーヴス。これまで「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014年)や「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」(2017年)などでメガホンをとっている実力派の監督だが、今回の作品は「これまでのバットマンで、最もエモーショナルなものになる」と宣言していた。
それだけにバットマン自身の原点に立ち返り、その人物像の深化に力が注がれる。爆発にも耐えうる防護服バットスーツに身を包んでいるとはいえ、そこにはスーパーヒーローとしてではなく、生身の「人間」としてのバットマンが描かれているのが印象的だ。
今回、これまでにないバットマンを演じたロバート・パティンソンと、キャットウーマンに扮したゾーイ・クラヴィッツに話を聞いた。
エモーショナルな面を浮き彫りに
作品の舞台は、若きブルース・ウェインが、バットマンとして「悪」と対峙し始めてから2年目に設定されている。
大富豪でありながら、目の前で両親を殺害された過去を持つ青年ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は、周囲からの孤立感に苛まれながらも、ゴッサム・シティの「探偵」として、ときにはバットマンの姿に身を包み、さまざまな犯罪に立ち向かっていた。
ある日、犯人を名乗るリドラー(ポール・ダノ)による街の権力者たちを狙った連続殺人事件が起きる。知能犯のリドラーは必ず現場に「なぞなぞ」を残していった。
警察や「探偵」ブルースも動き出すが、「次の犠牲者はバットマン」というメッセージが届く。犯行の目的は何なのか、リドラーを追うなかで出会ったキャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)とともにブルースは真相に迫ろうとするが……。
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──「THE BATMAN−ザ・バットマン−」は、若き日のブルース・ウェインに焦点を当て、人間的な側面が色濃く描かれているという印象を持ちました。それぞれの役を演じるうえで、どんなことを意識しましたか?
ロバート・パティンソン:まずは役づくりの準備として、「バットマン」のグラフィックノベルをたくさん読みました。そして、そのすべてに悲劇の要素が描かれていることに気づいたんです。
過去の「バットマン」作品を見た多くの人は、ブルース・ウェインは大富豪だから、いろいろな武器や装置を用意することができたし、その富によってスーパーヒーローになれたのだと考えているかもしれません。
でも今回、僕たちは新たな物語のなかで、ブルースは大富豪であるがゆえに外の世界から隔絶された存在となり、さらにOCD(強迫性障害)的な性格になってしまったのではないかと考えました。