これまで、古生物学者の芝原暁彦や早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授、作家の上田岳弘などが、1年以上に渡って議論を重ねてきた「Sci-Fiプロトタイピング」。文化放送のラジオ番組「浜松町Innovation Culture cafe」では、「Sci-Fiプロトタイピング」のメンバーでもある経営学者・入山章栄をMCに、ショートショート作家・田丸雅智と、ウィズグループ奥田浩美、さらにロート製薬/アイフォースリー長岡里奈をゲストを迎えて、身近な視点から考える「Sci-Fiプロトタイピング」がディスカッションされた。
入山章栄(以下、入山):田丸さんはこの番組にお越しいただくのが2回目ですが、改めてショートショート作家の田丸さんから「ショートショート」とは何か?を教えていただけますか。
田丸雅智(以下、田丸):簡単に言うと「短くて不思議な物語」のことです。
入山:奥田さんの現在の活動をお話下さい。
奥田浩美(以下、奥田):日本に全く存在しない場作りに挑戦する会社を経営しています。私自身、1990年代にシリコンバレーに行った時、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズがステージに立っているような、未来を語るカンファレンスが日本に全く無い事に気がつきまして。そこで、「未来を紹介する場を作ろう!」と思い立ち、ITカンファレンスを運営する事業を起業し、その後ウィズグループを設立しました。未来の技術を紹介する会社としてGoogleやMicrosoftといった技術を日本中に広める目的で活動しておりました。
ところが、「技術だけ紹介していて、いいんだろうか?」と疑問が生まれ、そこで、街中に「ITふれあいカフェ」を作り、カフェに訪れた人がタブレット等を操作した時に、彼らが「何に困っているか」を検証するような事業も開始しました。この試みは、大規模な事業化までには繋がらず、失敗したのですが。
入山:具体的な事例ってありますか。
奥田:鹿児島県の事例ですが。ある時、薬や体調管理ロボット(ペッパー)を、おじいちゃんおばあちゃんの目の前に置きました。すると、ロボットがフリーズしてしまい、30分間動かなくなってしまったんです。
そうしたら、「ペッパー、立ち上がらんね。ペッパー」と、普段立ち上がらないおじいちゃんがロボットの名を叫びながら呼び掛けて、ロボットに駆け寄って行ったんです。それを見て、「もしかしてロボットって、科学的に役に立つ事よりも、面倒をみたりかわいがってもらう存在なのかも」という事を、検証出来たのが今から6年前の事でした。