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2021.12.27

ヤンマガが新連載を「NFT化」 買って終わらない新たな読者体験へ

左からヤングマガジン編集長、鈴木一司とコレクション CEOの岩瀬大輔(撮影=林孝典)

2021年のビジネストレンドワードとなった「NFT」。ツイッター創業者であるジャック・ドーシーの初ツイートが3億円超で落札されたこと、デジタルアーティストBeepleのNFT作品が75億円で取引されたことは、大きな話題を呼んだ。

その熱は瞬く間に伝播し、NFTはアート、音楽、ゲーム、スポーツなどさまざまな業界とつながりながら領域を拡大。作品はもちろん、マーケットプレイスも続々と誕生している。日本では、LINEやGMOがベータ版を開設。楽天も来年の参入を狙うなど、国内企業の視線も熱い。

元ライフネット生命共同創業者の岩瀬大輔は、7月にこの領域に参入。音楽プロデューサーでソングライターのジェフ・ミヤハラらとともに、NFTの売買プラットフォーム「Kollektion(コレクション)」を立ち上げた。ギタリストのMIYAVI、韓国の歌手ケヴィン・ウーらの作品を扱い、開始からわずか数ヶ月だがファンコミュニティも活況を呈している。

同社は今月、40年以上の歴史を持つ週刊漫画誌「ヤングマガジン」との連携を発表。12月27日から、新たに連載が始まる漫画作品のNFTの販売を開始した。本誌発売から48時間以内に販売が開始され、1ページ単位で次週号が出るまで購入ができる。

マンガ x NFT で一体どのような化学反応が起こるのか。

コレクションCEOの岩瀬大輔とヤンマガ編集長の鈴木一司が、企画に込める想いを語った。


マンガのNFTに参入する理由


岩瀬大輔(以下、岩瀬):コレクションは音楽のNFTでスタートしましたが、日本を代表するコンテンツであるマンガでもファンとの新たな繋がりを作ることでクリエイターの創作活動を応援したいと思い、マンガといえば講談社さんだと。たまたま友人である起業家のけんすう(古川健介)さんがマンガのビジネスをやっているので相談したところ、講談社さんと繋いでもらったという経緯です。

プロジェクトを提案したところ、「鈴木編集長が『俺がやる、面白そうだ』と言ってくださった」と聞いてますよ。

鈴木一司(以下、鈴木):まったくその通りです。うちで「講談社クリエイターズラボプロジェクト」というのを運営している部長が突然やってきて、「こういう企画どうですか」と聞かれ「面白いからやりたい」と反応した。それまでNFTのことも岩瀬さんがやってることも知らなかった。でも面白そうだったので、編集部員とも相談して始まった感じです。

ここ10数年、編集の現場で感じるのは、作家さんがnoteを使うなど、出版社を通さずに読者へ作品を直接届けるインフラが整ってきているということ。このままでは置いてかれる、という意識が以前からありました。

ヤンマガ編集長
撮影=林孝典
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文=露原直人 撮影=林孝典

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