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フォーブス ジャパン編集部のキュレーター兼編集者

Guido Mieth / Getty Images

7月中旬、米合成生物学アクセラレータ「IndieBio(インディバイオ)」が、オンラインで「デモ・デイ」を開催した。インディバイオは、中国・深圳に拠点を置くハードウェア・アクセラレータ「HAX(ハックス)」なども運営する米ベンチャー投資会社SOSVの傘下企業で、主に合成生物学のスタートアップを対象に出資とメンタリングを行っている。「デモ・デイ」は年に2回、選ばれたスタートアップが自社製品やサービスのプレゼンテーションを行うお披露目の舞台だ。



今回、プレゼンした企業は、人工肉や人工チョコレートの開発企業から、臭いで爆発物や貨物内の有害生物を検知するニューヨークの会社、植物由来のバイオポリマーを使ったヘア・エクステンションのメーカーまで色とりどりで、起業家たちの性別も国籍もさまざまだ。

その企業理由も社会的使命感にもとづくものばかりである。人工肉は将来的に起こりうる食糧危機への代替食として、人工チョコレートはチョコの消費拡大に伴って止まらない森林伐採への歯止めとして、臭い検知の会社は社会の安全を考えて、そして植物由来のヘア・エクステンションメーカーは利用者の健康を心配してのことだ。

このように、今まで以上にスタートアップのタイプに幅が出てきているうえ、エコシステムそのものが多様化し始めている。しかも、起業家たちが今まで以上に社会的な使命感をもっている──。近年の潮流を改めて実感させるイベントだった。

2019年10月上旬のことだ。筆者が取材で訪れた米カリフォルニア州サンフランシスコではITメディア「テッククランチ」が主催するイベント「ディスラプト」が開かれていた。写真アプリ「スナップチャット」で知られるスナップの共同創業者兼CEOエバン・シュピーゲルも登壇するなど、シリコンバレーを代表するテックイベントらしい華やかさに満ち溢れていた。ところが印象的だったのはむしろ、同時期に開催された「SynBioBeta 2019」だった。

キーノートに、グーグルのエリック・シュミット元CEOに、オンライン学習サイト「Cousera(コーセラ)」や製薬特化型人工知能(AI)スタートアップ「Insitro(インシトロ)」を連続起業したスタンフォード大学教授のダフネ・コラー、“遺伝学会の巨人”ことジョージ・チャーチといった面々が顔をそろえていたのだ。その顔ぶれもさることながら、ビル&メリンダ・ゲイツ財団や米国務省の国防高等研究計画局(DARPA)、多くのベンチャー投資家が参加していることに、シリコンバレーが新たな局面に移っているように思えたのである。

文=井関庸介 写真=ラミン・ラヒミアン(ZBiotics)/ 能仁広之(WBS牧兼充)

バイオテック起業家

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