Bリーグ悲願の「魅せるアリーナ」誕生 続く建設ラッシュ、成功の鍵は?


日本における民設アリーナ建設では、球団に単体で施設建設に投資できる体力はまだなく、球団親会社を含めた民間事業者とのパートナーシップが欠かせない。神戸アリーナの場合、NTT都市開発やNTTドコモといったNTTグループ企業が、ストークスの親会社スマートバリューとパートナーシップを組んでアリーナを拠点とした施設事業や街づくりに参画する。コンテンツ力が発展途上でも、クラブが描いた夢に自治体や複数の民間事業者が共感し、“資金力のある親会社の力業” を超えた企業アライアンスがプロジェクトを推進している点が画期的だ。

神戸アリーナの設計は、北海道日本ハムファイターズが建設を進める新球場「エスコンフィールド北海道」(2023年竣工予定)の設計も手掛けた米国のHKSが担当する。HKSは、米国ではPopulousやHOKなどと並んでスポーツ施設設計でその名を知られる著名デザインファームであり、NBAアリーナだけでなく、MLBやNFLスタジアムの設計も数多く手掛けている。本場米国で培ったノウハウが日本でどう生かされるのかにも注目したい。

自治体も “稼げる” スポーツ施設建設を都市計画のツールに


政府は「スタジアム・アリーナ改革」を掲げ、スポーツ施設の「コストセンターからプロフィットセンターへの転換」を図っているが、多くのスポーツ施設を保有する地方自治体の腰は重い。それは、自治体が “稼げる” スポーツ施設建設により享受できる具体的なメリットを測り切れていないためだ。

先行する民設プロジェクトにて、スポーツ施設建設による新たな経済圏の開拓や雇用の創出、街づくりを通じた市民のQOL向上や都市のブランド価値の上昇といった経済的・社会資本的効果を実感することができるようになれば、地方自治体の中にもスポーツ施設建設を都市計画のツールとして活用する発想が生まれてくるだろう。


鈴木友也◎トランスインサイト株式会社創業者・代表。1973年東京都生まれ。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、米マサチューセッツ州立大学アムハースト校スポーツ経営大学院に留学(スポーツ経営学修士)。日本のスポーツ関連組織、民間企業などに対してコンサルティング活動を展開している。

連載:日米スポーツビジネス最前線

文=鈴木友也 編集=宇藤智子

タグ:

連載

Forbes Sports

ForbesBrandVoice

人気記事