Bリーグ悲願の「魅せるアリーナ」誕生 続く建設ラッシュ、成功の鍵は?

(c) 琉球ゴールデンキングス


この中でも、特に今注目したいのが、今月記者会見が行われてプロジェクト概要が公表された神戸アリーナだ。その理由は主に2つある。
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1つ目の理由は資金調達に関するものだ。先行して竣工する公設アリーナを見ると、沖縄アリーナは総建設費約170億円を内閣府の沖縄振興特定事業推進費や防衛省の再編推進事業補助金から賄っている。SAGAアリーナは、2024年に開催される国民スポーツ大会(かつての国民体育大会)開催に向けた佐賀県の施設整備費用から約250億円の建設費をねん出する予定だ。

このように、先行する公設アリーナの資金調達手法は再現性が低く、他のプロジェクトで容易に真似できない。もちろんこれは責められる類のものではなく、前例のない中で関係者の皆さんが知恵を絞った結果だったわけだが、後続プロジェクトへの応用を考えると、民間事業者が経済合理性から計画を推進している民設アリーナが改革のペースセッターになる必要がある。
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2つ目の理由は、プロジェクトの組成だ。千葉ジェッツのような既に観客動員数が新B1基準の4000名を超えて施設収容人数の上限に迫るB1トップレベルのクラブが新アリーナ建設を模索するのは、競技的価値の向上に伴う事業価値の拡大(「強くして」から「儲ける」)という線から、ある意味当然の流れと言える。こうしたクラブには、日本のマディソン・スクエア・ガーデンとも言えるバスケの聖地となるようなアリーナを是非とも建設して欲しい。

一方、神戸アリーナのメインテナントになる西宮ストークスは現在B2に所属しており、平均観客動員数(1試合)はB2平均をやや下回る約1600名(2019~20年シーズン)。事業的価値と競技的価値の向上を、アリーナ建設を機に両立させようとする試み(「儲ける」と「強くする」の両立)は、他の下部ディビジョンやマイナー競技に属するクラブに勇気を与えるだろう。多くの事業者と夢を共有できる事業成長ストーリーが描ければ、誰でも “強力な武器” を手に入れられる時代になったのだ。
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文=鈴木友也 編集=宇藤智子

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