COVID-19は、はしかのように終生免疫をもたらすのでしょうか、それとも他の季節性のウイルスのように、終生免疫ではなく一定期間の免疫に留まるのでしょうか。つまり、COVID-19の出口戦略は何であり、私たちはいつまでこのウイルスと戦うことになるのでしょうか?
抗体と免疫反応の関係
臨床医学と公衆衛生における経験、また、抗感染症薬やワクチンなどの開発経験を数多く積んできた著者としては、抗体による免疫反応はとても複雑であると言わざるを得ません。
抗体は、感染症に対する免疫反応の一部として血中に産生されるタンパク質であり、人々がその感染症に対して免疫を有している可能性があることを示しています。しかし、抗体があるからといって、人が一生、あるいはたった一年間でさえも、ウイルスから身を守ることができると保証されるわけではありません。
また、さらに話は複雑になりますが、すべての抗体が身を守るとも限りません。一部の感染者においては、免疫の過剰反応により症状が悪化することがあり、それが高い死亡リスクにつながる恐れもあります。
結局のところ、免疫については、抗体の種類、抗体の量、およびそれらがどれほど長く体内に留まるかという点が重要になってきます。
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例えば、ほとんどすべての人が実はコロナウイルスに触れています。というのは、一般的な風邪の約10%〜30%は既知の4種のコロナウイルスに起因するものだからです。今すぐ血液検査を行えば、これら4種のコロナウイルスに対するある一定程度の抗体を持っていることが分かるでしょう。
しかし、人々が現在これらのウイルスから身を守るために十分な抗体を有しているかどうかは全く異なる問題です。これらのウイルスに感染すると、体内で抗体が産生されますが、その後徐々に防御レベルは低下し、人々は再び感染しやすい状態になるのです。
では、COVID-19についてはどうでしょうか。
仮説の1つは、重症度合と免疫反応の間に相関関係があり、重症であればあるほど、免疫反応は大きくなるというものです。2003年に中国南部の広東省を起源とした非定型性肺炎のコロナウイルスの一つである重症急性呼吸器症候群(SARS)の場合は、まさにこのような相関関係があると明らかになっています。SARSの重症患者は非常に長い間、場合によっては何年もの間、免疫を保有し続けました。