Photo by Marco Mantovani/Getty Images

米国政府は5月18日、製薬分野の新興企業「Phlow Corporation」に4年間で3億5400万ドル(約380億円)を支払う契約を締結し、新型コロナウイルス感染症の治療に役立つ可能性のある薬剤の製造を国内で進めようとしている。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、政府は海外への薬剤供給の依存度を引き下げようとしており、契約期間をさらに10年間延長し、8億1200万ドルを追加で支払う可能性もあるという。

今回の契約は、米国生物医学先端研究開発局(BARDA)がこれまで締結したものの中で最大規模のものとなる。Phlowは新薬の製造を、製薬業界においては比較的新しいアプローチである連続生産(continuous manufacturing)のスキームで行おうとしている。

製薬分野の企業の多くは、薬剤の製造をロットごとに区切って行い、品質検査を経た後に他の製造拠点、もしくは海外の国で最終的な製造を行っている。連続生産においては、1カ所で全プロセスをこなすため素早い製造が可能で、薬剤不足にも対応できるが、コストが高いのが難点だ。

Phlowは今年4月にも、600万ドルの契約を合衆国保健福祉省と結び、パンデミック以降に生じた原薬の供給リスクに備えてきた。

バージニア州リッチモンド本拠のPhlowは、今年1月にCEOのエリック・エドワーズとバージニア・コモンウェルス大学(VCU)の化学教授のB. Frank Guptonらによって設立された。

Guptonは、2017年にVCU内で設立された組織であるMedicines For All Instituteを率いている。同組織はビル&メリンダ・ゲイツ財団から2500万ドルの支援を受けている。エドワーズはPhlowを設立する以前は、2008年に医薬品企業のKaleoを共同創業していた。

FDA(米食品医薬品局)は、米国で流通する完成品の医薬品の約40%と、原薬の約80%が海外で製造されていると試算している。

「医薬品の製造分野ではここ数十年で、インドや中国に製造を委託する動きが進んだが、連邦政府はその重要性に気づき、国内に製造を戻そうとしている。これは正しい判断だ」とエドワーズはNYTの取材に述べている。

編集=上田裕資

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