ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、政府は海外への薬剤供給の依存度を引き下げようとしており、契約期間をさらに10年間延長し、8億1200万ドルを追加で支払う可能性もあるという。
今回の契約は、米国生物医学先端研究開発局(BARDA)がこれまで締結したものの中で最大規模のものとなる。Phlowは新薬の製造を、製薬業界においては比較的新しいアプローチである連続生産(continuous manufacturing)のスキームで行おうとしている。
製薬分野の企業の多くは、薬剤の製造をロットごとに区切って行い、品質検査を経た後に他の製造拠点、もしくは海外の国で最終的な製造を行っている。連続生産においては、1カ所で全プロセスをこなすため素早い製造が可能で、薬剤不足にも対応できるが、コストが高いのが難点だ。
Phlowは今年4月にも、600万ドルの契約を合衆国保健福祉省と結び、パンデミック以降に生じた原薬の供給リスクに備えてきた。
バージニア州リッチモンド本拠のPhlowは、今年1月にCEOのエリック・エドワーズとバージニア・コモンウェルス大学(VCU)の化学教授のB. Frank Guptonらによって設立された。
Guptonは、2017年にVCU内で設立された組織であるMedicines For All Instituteを率いている。同組織はビル&メリンダ・ゲイツ財団から2500万ドルの支援を受けている。エドワーズはPhlowを設立する以前は、2008年に医薬品企業のKaleoを共同創業していた。
FDA(米食品医薬品局)は、米国で流通する完成品の医薬品の約40%と、原薬の約80%が海外で製造されていると試算している。
「医薬品の製造分野ではここ数十年で、インドや中国に製造を委託する動きが進んだが、連邦政府はその重要性に気づき、国内に製造を戻そうとしている。これは正しい判断だ」とエドワーズはNYTの取材に述べている。