ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

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アメリカのほとんどの州で知事による自宅待機命令が出され、景気への不安が大きくなったためか、人々は、今度は待機命令への不満を、政府へと向けるようになった。

ミシガン州では、もともと景気に大きな懸念を抱えていたデトロイトで、自宅待機命令反対集会が行われ、知事のリコールを求めて違法の大行進があった。同様の動きがミネソタ州でも始まると、あっという間に全米の多くの州に広がっている。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために自宅待機命令が出されているなかで、抗議デモという形で、あえて「3密」をつくって反対するところの矛盾が、この初めての惨禍に戸惑う人々の不安な心を映し出している。マスクを外してデモをする姿は、「新型コロナ版ハンガーストライキ」とでも言うべきか。命にもかかわることなので、全米が注視している。

ラスベガスでは4分の1が失業


実際、いまアメリカでは、感染者の増加よりも、地域経済の深刻化の報道のほうが目立っている。筆者が住むラスベガスは、全米で2番目に経済打撃を受けた都市として発表されたが、確かにそんな実感がある。

市内の街頭に設置されたセキュリティカメラの映像はネットで見ることができるのだが、各メガリゾートホテルの入口前にはパトカーが待機しているだけで、街はクルマも人通りもないのがよくわかる。年間4000万人を集客するアメリカ第一の観光都市は、まさしくゴーストタウンと化している。

ラスベガスでは、いま4分の1の人間が失業しており、家賃の支払いに不安を訴えている人がとても多い。また、引退後に温暖な土地を求めて引っ越ししてきたシニア世帯の人たちのところに、彼らの息子や娘である多くの家族が他州から逃げ込んできている。食料品を買うためにクルマを走らせると、いままではめったに見なかった、東海岸の州のナンバープレートも目にすることが多くなった。

壊滅的になったラスベガスの経済は、今後どのような形で回復を図るのか全く目処が立たず、民主党のグッドマン市長は、同じ民主党ではあるが、スティーブ・シソラック知事が出した外出禁止令の長期化に反対声明を宣しており、切迫感が漂う。

事故が減った分、保険料を換金


そんななか、人々や組織が、善意で連携するという動きも目立つようになった。地元出身のMLBプレーヤー、ブライス・ハーパーが、故郷のラスベガスとチームが所属するフィラデルフィアに5000万円分の食糧を寄付したと報道された。

また、14歳の地元の少女、アレクシス・スコットさんが、210個のマスクを手づくりし、医療関係者に寄付したとして新聞に掲載された。

文=長野慶太

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