今回の目玉はなんといっても、今話題の48Vマイルドハイブリッド・システムだ。55km/h以上で走行していてアクセルを緩めると、エンジンが停止し、最大で40秒ほどEVモードでの走行が可能。もちろん、40秒走行した後、エンジンが自動的に再作動して再びバッテリーを充電。
「たった40秒だけか?」という人もいるだろうけど、こんなに重い高級セダンには、燃費を稼いだり、CO2エミッションをよりクリーンにする働きがある。これは最初のステップと言える。時間が経ってバッテリーの容量が上がると、EVモードだけで走れる時間が伸びるはずだ。
新A6は、ステアリングは正確で適度な重さだけど、5シリーズやXFほどのシャープなターンインの持ち主ではない。コーナーで少しロールするけど、体に優しいGフォースという力が働くので気持ちがいい。このアウディは綺麗で品が良い高級クルーザーという印象だ。
オプションのバング&オルフセンの3Dサラウンドシステムは、アウディが得意な高級オーディオであり、文句なしの音質だった。
最後に、いつもの都内コースを走った時の第一印象を言わせてもらいたい。というのも、どのクルマも、試乗を始めて2、3分でその個性をだいたい把握できるものだからだ。乗り込んだ瞬間に感じた内装の質感、雰囲気やインパネの配置、乗り心地、ハンドリングや加速感やブレーキ性能の第一印象は、長時間乗ってもほとんど変わらない。
このアウディA6も、外観、内装、エンジン、ハンドリングとも第一印象を裏切らなかった。そして何よりも、路面から音と振動がほとんど伝わってこない静粛性に驚いた。
ハンドリングを重視にしている人なら5シリーズを選ぶだろうけど、デザイン性の良さ、長距離クルージングのリムジン的なクルマを好む人は、このアウディを選択するべきだろう。
V6ターボ仕様車は、1006万円というスターティング価格だけがネックかな。あとからライナップに追加されるディーゼル・ターボ仕様は燃費がより優れているのと、数百万円安いなのでお手頃だと言える。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>