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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

新型アウディA8

この新型アウディA8を試乗した時、ヒット映画「トランスポーター」の主役フランクが乗った旧型のA8の豪快な走りを思い出した。もし彼が逃亡中にケガをして、片手運転しかできなくなったとしても、A8の「トラフィック・ジャム・パイロット」技術を作動させれば、史上初の自動運転の逃亡シーンが見られるかもしれないと思った。

アウディが今までに作ってきた中で一番賢いこのA8は、例えるなら、社会がまだ受け入れ難い天才みたいなクルマだ。というのは、この車が搭載する自動運転レベル3(条件付きだけど)のシステムは、高速道路ではステアリング、ブレーキ作業、アクセル作業を自動的に制御することができるが、各国の政府や議会は「何かがあった時に責任問題はどうなるのか」と、このシステムを許可していない。

話によると、来年にはいくつかの欧州の国では規制が緩和され、限られた道路でならレベル3で走れるようになるそうだ。……と、A8の自動運転システムについてももっと語りたいが、その前に、デザインとエンジンなどの基本ハードウエアについて触れてみよう。

ヘッドライトとグリル周りは、アウディ特有の顔がいつも以上に強調され、自己主張が強くなった感じだ。でも、不思議なことにテールライトとメッキのバーは、左のリアコーナーから右のリアコーナーまで一直線に伸び、ひと世代前の某アメリカ車のテールデザインを思い出させる。エレガントではあるけど、少し古い感じがしなくもない。



僕が試した3リッターV6ターボ仕様は、340psと500Nmを叩き出すユニットがスリル度満点。こいつは2.1トンという車重ながらも、低中速域では特にレスポンスが速い。

マイルド・ハイブリッド仕様だから、加速性は通常のV8より若干速い。実はこの車、48Vの強い電気系のマイルド・ハイブリッド・システムを採用し、リチウムイオン電池を備えているので、ゼロ発進は静かそのもの。7速DCTによるスロットル・レスポンスはドライバーの想う通りに反応してくれるので、加速感はリニアで滑らかだ。

電子制御ダンパー付きエアサスペンションがついているので、速度が増せば増すほど車の動きが安定し、コーナーではフラット感を保ってくれる。また、A8はアウディのフラッグシップということで、ヘッドアップディスプレー、レーンキープ、自動ブレーキなど、なんと40ものドライバー支援システムが搭載されている。

文=ピーター・ライオン

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