ビジネス

2019.08.01

起業家ランキングから5年、時代を切り開くインパクトCEOの闘い方

Forbes JAPANが主催する起業家ランキングに名を連ねてきたCEOたち。(左から)寺田親弘、辻 庸介、梅田優祐

1位 メルカリ、2位 gumi、3位 スマートニュース、4位 Sansan、5位 Gunosy。

Forbes JAPANが創刊した2014年、1月号で特集した第1回スタートアップランキングの上位がこの5社だった。この時の特集タイトルは「日本を救う起業家BEST10」。時代の移行期に事業で社会を変えようとする若者たちを追い、CtoCで「自由なトレードができる仕組み」づくりを目指すメルカリをはじめ、起業家たちの志を紹介した。

その後、メルカリは3年連続の1位を達成して殿堂入り。18年に上場した日の時価総額は7000億円を超え、「スタートアップ・ドリーム」と言われた。

14年当時、スタートアップシーンにインパクトを与えていたメルカリ、gumi、スマートニュースは旧世代から「ボーン・グローバル・ファーム」と呼ばれた。創業直後の未上場の段階で海外進出を準備しており、地球規模の考え方やスピード感が従来の企業とはまるで違ったからだ。

インターネットの波に乗って起業したヤフー、GMO、楽天から、次の世代のグリー、ミクシィ、DeNA。そしてスマホの波に乗ったメルカリを代表とする起業家たち。5年前のランキングから今日に至るまでの間、さらに変化は加速している。サービスの提供によって、私たちの仕事や生活を起業家たちはどう変えたのか。もちろん、起業によってすぐに市場を開拓できたわけではない。

「初めは誰にも相手にされませんでしたよ。私が何をやっているかもわかってもらえませんでした」と、苦笑するのはマネーフォワードの辻庸介だ。

同社は16年1月号で6位に入り、17年に上場。自動家計簿サービスやクラウド会計を提供する。お金に関する現状や課題をリアルタイムに可視化し、可能性を広げることを社の使命に掲げている。

「5年前には、テクノロジーによって当たり前と思っていたものが当たり前でなくなる世界を描いていました。会計業務であれば人間による入力作業が自動化されて、会計も給与もすべてがシステムでつながり、お金の悩みを解消することで、人生や社会の可能性を広げられると確信していたのですが、時間軸はわかりませんでした」

当時は「クラウドにデータを置いて大丈夫か」という抵抗感があった時代だ。「愚直にいいサービスをつくるしかない」と思っていた辻が、創業直後から「志の高さと覚悟では、刺激を与えてもらっている」と、親しく付き合ったのがユーザベースの梅田優祐と、Sansanの寺田親弘だ。3人とも大手企業でキャリアを積んで起業。本誌ランキングでもベスト10入りし、上場した。共通点は3社とも「SaaS」であり、クラウドのメリットを活かして、市場の「敷居を下げた」ことだ。
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文=フォーブス ジャパン編集部 イラストレーション=アレクサンダー・サヴィッチ

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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