ビジネス

2019.08.01

起業家ランキングから5年、時代を切り開くインパクトCEOの闘い方

Forbes JAPANが主催する起業家ランキングに名を連ねてきたCEOたち。(左から)寺田親弘、辻 庸介、梅田優祐


「NewsPicks」で知られるユーザベースは、法人向けの「SPEEDA」で世界200カ国、580万社の企業データを提供する。国内時価総額トップ100の会社のうち7割が導入。短時間でのレポート作成や資料作成、ターゲットリスト作成などの機能も備える。これまで担当者が個別にソースを辿って取得していた情報を集約し、ウェブ上で一括して自動収集できるサービスを提供。業務の効率化を支援する。

Sansanは、それまで従業員が個別に管理していた名刺を「社内の資産」と捉え、全社で活用できるようにした。以前から、営業支援や顧客関係管理ソフトは存在したが、「名刺管理」というカテゴリで、取引先や顧客の情報を扱うコンセプトを打ち出し、市場を切り開いている。

従来、企業が手間をかけて情報管理していて、効率化したくてもシステム導入のハードルが高い、もしくは解決策そのものが存在していなかったところを、3社とも導入のハードルを下げて、人々を仕事の煩わしさから解放していったのだ。

もう一つ、時代を象徴しているのが、「コミュニティ」に注力している点だ。ユーザベースはNewsPicksアカデミアで有名。Sansanではサービス「Eight」を愛するファンたちが熱量の高いイベントを行い、マネーフォワードも「人に相談しにくいお金の悩み」を語り合うことで、同世代の工夫を参考にしたり、効率のよい方法を学んだりしている。クラウド企業はユーザーのニーズを収集してサービスを改善できるため、コミュニティは相性も良い。

デジタルとリアルを融合させることで、ユーザー起点の思考法は深化する。企業と人がフラットに繋がり、一体化する。それが当たり前の時代となったことだけは確かだ。


辻 庸介◎京都大学農学部卒業。ペンシルベニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー、マネックス証券を経て、2012年にマネーフォワード設立。新経済連盟の幹事、経済産業省FinTech検討会合の委員を歴任。

梅田優祐◎1981年生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、コーポレートディレクションでコンサルティングに従事。その後、UBS証券投資銀行本部の東京支店での勤務を経て、2008年に稲垣裕介、新野良介とユーザベースを共同創業。

寺田親弘◎慶應義塾大学環境学部を卒業後、三井物産の情報産業部門でIT機器の輸入やシステム開発、合弁会社の立ち上げなどに従事。2007年、友人とともにSansanを創業。Forbes JAPANの「起業家ランキング」では常連(最高位は4位)。

文=フォーブス ジャパン編集部 イラストレーション=アレクサンダー・サヴィッチ

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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