ビジネス

2018.08.25 11:30

「ゴミを出さない店」は成立するのか ドイツ発ビオスーパーの挑戦


「バイオプラスチックは、正しい処理方法で処理できないのであればまったく意味がないので、今のところ使う予定はありません。お客さまの手に渡った後でどのように処理され、最後どこに行き着くのかというところまで考えて、商品やサービスを提供したいんです」とクリスチーネ氏。

商品の運搬にも気を配っており、オーネの商品たちはリユース可能なカゴや木の箱、紙のザックで地元の生産者から運ばれてきます。地元の生産者を選ぶのも、輸送によるCO2排出量削減のため。そして、地産地消から地域活性化に繋げていきたい、という想いもあるそうです。

ゴミとともに捨ててきた たくさんの機会

ミュンヘンはドイツで最も家賃が高く、お店を運営するのも大変ですが、もともと環境意識やビオ感度が高い人が多いため、売れ行きは悪くないとクリスチーネ氏は言います。


オーネに対する誇りと自信にあふれたクリスチーネ氏

「ライバルとなるビオショップは数え切れないほどありますが、オーネに通ってくださる方も多くいらっしゃいます。それは新たな暮らしのアイデアや価値観を共有したり、コミュニケーションを楽しむことができる場である、ということが大きいのではないでしょうか」


オーネで扱うものにはすべてパッケージがなく、つまり名称や説明がないため、その商品やサービスについてあらゆる想像する必要があります。これは何なのか? どのように使うのか? 誰が作ったのか? これで何ができるのか? どうやって保管するのか? など、ひとつひとつ考えることが、社会的な責任を果たす生活のきっかけにもなります。

パッケージこそないものの、それぞれの商品には手書きのPOPが添えられ、店頭にいる2人のスタッフがお客さんと常に言葉を交わしコミュニケーションをとっています。現代のスーパーマーケットと比べると非効率に見えますが、これはテクノロジー発達以前、私たちが当たり前のように行っていたことです。

オーネを訪れて、買い物から生まれる発想、出会い、その他多くの機会を、私たちはパッケージのゴミとともに捨ててきたのかもしれないと気がつきました。

使い捨てプラスチック廃止の波を受け、今後さらに「Zero Waste」に着目したスーパーマーケットは増えていくでしょう。利便性ばかりに気を取られず、自ら想像し工夫することで、ものごとの本質を見る。ある種人間の原点とも言えるような暮らし方に、今一度目を向ける時がきているのではないでしょうか。

「OHNE der verpackungsfreie Supermarkt」
住所:Schellingstraße 42 80799 München, Germany
電話:+49 89 92777826

連載 : クリエイティブなライフスタイルの「種」
過去記事はこちら>>

文=国府田淳・佐藤祥子

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